任天堂の岩田社長が死去

任天堂は13日、岩田聡社長(55)が11日、胆管腫瘍のため死去したと発表しました。

プレスリリース

良く知られているように、岩田氏はHAL研究所で「ピンボール」「ゴルフ」など多数のゲームソフトの開発にかかわり、1992年に同社が和議を申請した後には、代表取締役に就任。「星のカービィ」「大乱闘スマッシュブラザーズ」シリーズなどのヒット作品を制作し、経営を再建させました。

2000年に任天堂に入社後は取締役経営企画室長を経て2002年に代表取締役社長に就任。ニンテンドーSD、Wiiなどの大ヒットゲーム機を世に送り出しました。またE3やGDCなどの対外イベントでの講演や、決算説明会での映像配信、「社長が訊く」シリーズなどの情報発信にも熱心でした。

中でもGDC2005の基調講演「Heart of a Gamer」は、任天堂の新しい経営者となった人物が現場たたき上げのゲーム開発者であり、今もその精神を保持していること。そして、その姿勢がニンテンドーDSをはじめ、同社のモノ作りに深く活かされていることが示され、会場の大喝采を浴びました。

【講演映像】

自分(小野)は横井軍平氏が亡くなられた時、当時編集をしていた雑誌で追悼特集をくみ、岩田氏に文書コメントを求めたことがあります。

その際「『どうして大任天堂の部長自らがこんなに直接商品に口を出されるのだろう』」と感じたのを強く覚えています。私は、これほどに『人々の記憶に残る』商品を数多く開発された方を他に知りませんし、こういう方はもう二度と現れないのではないかとさえ思います(略)」(ゲーム批評vol18より引用)と記され、印象に残りました。

その後、脳トレをはじめとした「Touch! Generation」シリーズや、似顔絵キャラクターのMiiに、マリオやゼルダなどのシリーズとは異なる、現実世界をゲームでスケッチしたような「軽さ」を感じました。これらのゲームやサービスは開発を岩田氏が主導されたと知り、何か横井さん的な思想を感じました。

GDC2005の講演も、そうした過去の経験があってのことだったのかもしれません。自分も最前列で取材をしていて、会場の興奮を肌で感じました。

いつか、そうした質問ができる機会があればと考えていましたが、残念です。

ご冥福を心からお祈り申しあげます。

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