CEDEC2017スカラーシップレポート③松野下剛史

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九州大学芸術工学府デザインストラテジー専攻修士一年の松野下剛史です。大学では社会問題の解決を目的にしたゲーム、シリアスゲームと呼ばれる分野を研究し、中でも高齢者の健康維持にゲームを活用する方法を探しています。私自身はVR技術にも興味がありシリアスゲームへの応用を考えています。今回、IGDA日本のスカラーシップに参加し体験したことをスタジオツアー、CEDECに分けて伝えたいと思います。

今年のスタジオツアーでは、ジープラ・サイバード・Aimingの3社で見学ツアーと社員の方との座談会を行っていただきました。ゲームを商品として世に送り出すこと、ゲームだけではない価値のあるコンテンツを作ることについて新しい知見を獲得する上で、またとない機会となりました。3社でたくさんの話を聞く中で印象深かったことが二点あります。

一つ、世の中で今ウケているものにはウケる理由があり、次に商品を作ろうとするならその理由を追求しなくてはならないこと。

二つ、今、ウケていても、次の瞬間には別のものがウケることがよくある業界なので、次に何を仕掛けるべきなのか考えること。

学生の私たちが持つ視点とは違い、社会で働く視点からの意見がもらえました。実際に最前線にいる人と直接会って話をすることで、説得力のある言葉として『よしやろう!』と今日から動き出す原動力になりました。

三日間にわたるCEDECでは、様々な切り口から今のゲーム・CG技術分野が紹介されました。私は、自身の研究に関係のある、シリアスゲームまたはVRの技術を取り扱うセッションを中心に聞きました。たくさんの情報に触れるなかで、自分の制作にすぐに生かせること、注目していなかったが、応用できそうなことをストックしました。セッション後の質疑応答も自分以外の人が同じ話に対してどういうスタンスで受け取ったのか、異なる人から多様な情報をもらうことができる絶好の場となりました。講演者だけでなく聴講者も専門家だからこそできる、ハイレベルなやり取りを体験しました。

私にとって一番得るものの多かったセッションは「そのVR企画ホントに上手くいくの? プロトの前に考えること、そして大規模設営の実施まで」という、VRの強みを最大化する手法についてのセッションでした。VRは体験者の視覚、聴覚に強く作用するものですが、他の五感へのアプローチはどうすべきか。VRの体験中だけではなく、体験前後にも楽しみを用意するとどうか。学生ではなかなか経験できない、桁が違うほどたくさんの人に体験してもらうコンテンツを作った人だから得られた知見を、惜しげも無く伝えてくれるセッションであり、本当にありがたいものでした。

また、インタラクティブセッションでは、企業、大学を問わず色々な出展者が展示、実演を行っていました。特に、私と同年代の学生がすでに出展者として展示、応対している姿は触発されるものがありました。インタラクティブセッションは出展者がすぐ目の前にいてほぼマンツーマンで解説を行ってもらえるため、通常のセッションよりも自分が興味を持った部分に質問して知識を深掘りしやすい形態でした。

スタジオツアー、CEDECの四日間を通して、私たちクリエイターを目指すものにとって他のクリエイターとの交流や情報交換は、新しいアイデアを得るために大切なものだという確信が得られました。今回のように大きなイベントは交流を行う大きなチャンスで、そこに参加できたことを本当に嬉しく思います。ありがとうございました。