GDC2016報告会レポート第2弾「出展・生産性・インディ」

【世界を変えるかもしれない!?
インディ開発者が挑戦するゲームを通した社会変革の一歩】

あなたはなぜゲームを作るのでしょうか?
マッチロックの後藤誠氏も、GDCで再度考えさせられた一人です。
「YOUR GAMES WILL CHANGE THE WORLD! IT’S YOUR CHOICE NOW.」
(訳:あなたのゲームが世界を変えるかもしれない!それはあなたが如何に選択するかだ。)というセッションに大きな感銘を受けた後藤氏。
報告会でもこの内容に限定して紹介しました。

[講演スライド] [講演ビデオ]

本セッションは「WE ARE CHICAGO」(Culture Shock Games)のポストモーテムです。
本作はシカゴに住む10代の少年となって、最も危険なエリアでの生活を一週間体験していきます。
ゲームはナラティブ・ドリブンなアドベンチャーゲームで、人種差別や暴力が描かれており、ゲームを通じて危険と隣り合わせの学校生活を擬似体験できます。

本作の大きな特徴として、ゲーム中でおこるイベントやストーリーが、インタビューで集められた実際の体験談に基づいていることがあげられます。
ゲームを通して共感を高めることで、現実を知ってもらい、教育することが大きな目的になっていると後藤氏は言います。

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後藤誠氏

さらに「WE ARE CHICAGO」は、もう一つのテーマがあります。
それは、ソーシャルチェンジ(社会変化)です。
では、このソーシャルチェンジをもたらすために、開発サイドはどの様なアプローチを行ったのでしょうか。

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We are Chicago

まず、多くの人に遊んでもらい、たくさんのフィードバックを得ること。
開発チームは20分のデモをイベント会場で体験してもらい、どのような感想を持ったか質問していきました。
その際に「WATCH DOG」や「Grand Theft Auto」といった類似ゲームについても話をしたといいます。
どちらも人を殺害することができ、人を殺せないと自由度が低いという印象を持たれるゲームでもあります。
これらと「WE ARE CHICAGO」との比較を、何度も繰り返していったといいます。

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もう一つは人種や、暴力的表現を持つゲームについて議論を喚起することです。
これは暴力シーンがあるから駄目、無ければ良いという単純なものではありません。
暴力的な内容は、プレイヤーがより社会に対して積極的な影響を及ぼすことができるという意味にも捉えられます。
同じように反社会的な内容であっても、特定のコミュニティ内では協力的で親切なふるまいをするという意味も含まれています。
このように、問題があるとみなされる行為にも、正と負の両面があります。
「WE ARE CHICAGO」はゲームの世界ではあっても、実際に起きたこととしてプレイヤーに問いかけることで、現実世界の問題点について考えさせる力があるといいます。

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世界を変えるゲームを作りたい。
本セッションでの一番のキーワードです。
人は異なる背景や、人生経験など、他人との違いを知ることで、初めて先入観を壊すことができます。そのためには相手がどう思っているのか、それらを共有することが何よりも大事だと後藤氏は述べます。

ただし市場では、楽しさや快楽を求めるゲームが多くを占めます。
子供たちは圧倒的に強い存在になることができ、勝利すれば大きなリワードを手に入れることができるなど、現実世界ではあり得ない体験を、ゲームの中で楽しんでいるのが現状です。

このようなゲームばかりがゲームではないし、インディーゲームだからこそできる、
「WE ARE CHICAGO」のようなゲームがあってもいいと、後藤氏はいいます。
そして最後に、「あなたのゲームは世界に影響をあたえることができる。世界をよりよく変えていく顛末を確認してほしい」と延べて、本講演を締めくくりました。

(小川浩史)