ゲームシナリオライターの活躍する場は無限大/寺田 憲史氏を迎えて開催されたSIG-GSセミナーレポート

ゲームだけではない、ゲームシナリオライターの生きる道

寺田氏の著書「ルーカスを超える」

寺田氏は「ゲーム中のストーリーを描くことだけが、ゲームシナリオライターの仕事ではない」とも指摘します。

例えばIOT(Internet of Things)でお店とアプリを連動させる場合や、爆発的な広がりを見せているVR(Virtual Reality)といった、あまりシナリオが必要ではないと思われるメディアにおいても、ゲームシナリオの技法が必要になってくるといいます。

例にあげられたのが、失恋した女性ドライバーに対して「コンビニで温かい飲み物を飲んでいこうよ」など、声優がボイスナビを行うカーナビのアイディア。
このようにシナリオを用いれば、生活の中にエンターテインメントを送り込む余地はいくらでも広がります。

もっとも、シナリオの活用で市場が拡大する可能性があるものの、ハードウェア側がそれを欲するという段階にまだまだ到達しておらず、相乗効果が生まれにくい段階で留まっているのだとか。

IOTやVRの世界では、技術の進歩により、美麗なグラフィックの提案が容易になっています。
しかし、より深みのある体験を提供するためには、世界観や物語を作りあげ、シナリオを組み込む必要があるのはあきらか。
もっとも、世の開発者たちは、まだそのことに気づいていないと寺田氏は指摘します。
かつて「ファイナルファンタジー」がそうだったように、その可能性にいち早く気づき、柔軟に対応していければ、可能性はますます広がっていくと寺田氏は語りました。

最後に講演をまとめた寺田氏。
ある特定のゲームジャンルが流行ったから、自分もそれに乗っかるだけではあまりに寂しい。
ゲームシナリオライターであれば、目の前の「ゲームではない分野」に気を配ることが大切である。
それが少しでも長く生き残る秘訣だと、エールが送られました。
(小川 浩史)