世界最先端のゲームオーディオ技術をチェック!  SIG-Audio#13 GDC2016オーディオ報告会レポート

②サウンド向上のため最新技術を使わずとも今すぐできること(講師:稲森 崇史 氏)

稲森氏は以下の2つのセッションについての報告を行いました。

You Hear That? Team Engagement for Audio
[スライド][講演ビデオ/会員のみ]

このセッションでは、サウンド関係の開発者がゲーム開発チームとうまく連携をとることについて述べられていたそうです。

サウンド開発者からゲーム開発チームに向けて、開発の早い段階からコンセプトサウンドを作って提示したり、音作りの裏側を見せたりして、プレゼンテーションをしてこうという内容でした。そのうえで「自分たちは音のプロであり、音をチームに教えること、話すこと、そして音を愛することを決してやめてはいけない」と強調していたとのことです。

Overwatch – The Elusive Goal: Play by Sound
[スライド][講演ビデオ]

「Overwatch」におけるサウンドの工夫に関するセッションです。以下の要素が動画で紹介されました。

・ゲームの戦況から音のプライオリティが判定され、それに応じて音が変化する
・敵か味方かで足音に変化をつける(敵だと大きい・味方だと小さいなど)
・遮蔽物下では音にLowpass Filterをかけ、安全であることを示す
・周囲の状況(建物が横にあるか、建物内か)によって、銃声の反響音を変化させる

また「Overwatch」ではゲーム中にキャラクターが喋る点が特徴です。キャラクターボイスは戦況によって内容が変化します。 キャラクターが掛け合いを行うことで、より一層カジュアルな雰囲気が強調されています。

これらのことから、「ゲームに寄り添う音作り」の重要さが強調されました。「音で何を伝えたいのか明確にしておく(音の力 = 演出力 + 情報提供量)」「当たり前の技術の積み重ねが大切」「開発初期からサウンドチームを関与させる」などです。音が必要になってからでは遅いと稲森氏は述べていました。

英語について

稲森氏は去年のGDC参加で英語力不足を痛感し、毎日少しずつ勉強することにしたとのことです。 中でも講演をリスニングできるようになること(とにかく英語の「音」に慣れる) を目標に勉強したといいます。その結果400点台だったTOEICのスコアが700点台にアップしたとのことですが、GDCの講演はスピードが速く、理解することが難しかったと述べられました。 しかし、講演の聞き取りと日常会話以外では苦労しなくなったため、成長はしてるはずとのこと。日頃から英語の勉強を重ねることが大切だと指摘されました。