人工知能の世界を探索するための参考文献リスト

SIG-AI「人工知能のための哲学塾」でおなじみの三宅陽一郎氏の著書「<人工知能>と<人工知性>—— 環境、身体、知能の関係から解き明かすAI—— 」をベースにした、人工知能の広大な世界を探索するための参考文献リストが公開されています。下記8項目について簡単な解説と共に、2~30冊ずつ参考文献が紹介されており、クリックひとつで本の詳細が閲覧できます。 関連知識カードをクリックすることで、各々の文脈もつかむことができます。

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  • キャラクターAIはどうやってつくるの?
  • 知能の活躍に「無意識」が必要って、どういうこと?
  • そもそも人工知能はどうやって作るの?
  • エージェント・アーキテクチャって何?
  • サブサンプション・アーキテクチャって何?
  • 動き回るキャラクターAIは、周囲をどうやって認識しているの?
  • ゲームの中で素早く移動、攻撃する動作はどうやって作られているの?
  • 人間は経験から学ぶけど、人工知能はこの点どうなの?

ビデオゲームは黎明期から人間の良き遊び相手として進化してきました。つまりゲームの歴史はゲームAIの歴史だと言えます。その上でゲームAIはゲームデザインと結びつき、ゲームごとにさまざまな形態をとってきました。人工知能という言葉の意味とはうらはらに、ゲームAIは汎用性を問われることなく、機能特化型の弱いAIとして多様性を謳歌してきたと言えます。

その一方でゲーム業界の外側を見ると、今ほどAIについて注目が集まっている時代はないと言えるでしょう。こうした流れを受けて、ゲームAIの進化も新たなフェーズに入ろうとしています。GDC2019ではゲームデザインとゲームAIの融合に関するセッションが多々見られたように、ハードウェアやクラウドの進化はゲームAI、そしてゲームを次世代の体験へと導こうとしています。

ただ、「じゃあ何から勉強したら良いのか」と言われると、答えにつまるんですよね。良くも悪くも「人工知能」には定義がないからです。逆に画像認識や遺伝的アルゴリズムといった具合に、人工知能の研究分野のうち定義されたものは新たな名前がつけられ、コモデティティ化していきます。それゆえに本丸の人工知能はいつまでも、ふわふわとしたものであり続けているとも言えます。

こうした中、本参考文献リストは地の荒野に挑む探索者のための地図とコンパスの役割をはたしてくれます。言うまでもなくゲームAIはAIの一分野であり、その外側には過去の知見が地層のように折り重なっています。ゲームからゲームを作るのではなく、現実世界を観察してゲームを作る必要があるように、ゲームAIもその外側にある、広大なAIの世界を探索することが必要ではないでしょうか?