CEDEC 2025 スカラーシップ体験レポート⑥橋詰いぶき

自己紹介

CEDEC2025スカラーシップに参加させていただきました。和歌山大学システム工学部3年の橋詰いぶきと申します。プランナーを志望しており、所属する学生団体においてゲーム制作に関する学習や制作活動に取り組むとともに、代表として運営も行っています。

今回のスカラーシップでは、さまざまなセッションへの参加や多くの方々との交流を通じて、多くの学びと刺激を得ることができました。ここで、その一部でもまとめさせていただきます。

印象的だったセッション

においを手軽に制御するTensor Valveテクノロジー

以前、HMDに取り付ける匂い制御デバイスに関する記事をインターネットで見たことがあり、匂いという新たなゲームへのアプローチに興味を持っていました。そのため、このセッションに参加しました。

これまでゲームが訴えかけられる感覚は、グラフィックなどの視覚、サウンドなどの聴覚、コントローラーの振動などによる触覚が中心でした。しかし、Tensor Valveテクノロジーを使えば匂いを制御することができ、嗅覚にも働きかけることができます。これにより、ゲームに新たな価値を付与することや没入感を高める効果が期待できます。一方で、文化圏や個人の嗜好による匂いの受け止め方の違い、体験内容によって変化する匂いの許容度など、課題があることも分かりました。

応用先は多岐にわたると感じ、私自身もこの技術を活用して何かを制作してみたいと思いました。例えば、脳波を計測し、その結果に応じて最適な匂いを提示するシステムなどは非常に面白そうで、ぜひ試してみたいです。

疑うことがゲームを面白くする ― ゲーム制作におけるクリティカル・シンキングの応用 ―

このセッションではゲームデザインをする上でのクリティカル・シンキングによる疑問を持って考えることの重要性を学びました。常に「なぜ?」を意識することで、仕様に明確で具体的な採用理由を持たせ、目的や効果に沿った面白いゲームを作ることができます。

クリティカル・シンキングを使いこなすことは簡単ではありませんが、今後ゲームの仕様を考える際に意識的に取り入れていこうと思いました。

日常を侵蝕するゲームの作り方 ~ARGのゲーム設計~

以前、知り合いの勧めで、とあるホームページを探索して真相を突き止めていくARGに触れたことがあり、その時のこれまでにない独特な体験が非常に印象に残っていたために、このセッションに参加しました。

セッションでは、代替現実ゲームと呼ばれるARGというジャンルのゲームについて、その面白さやこのジャンル特有の制作上の課題、そして作品例が紹介されました。

私は、ARGというジャンルが自分の知るより遥か以前から存在していたことにまず驚きました。また、現実の中の新たな隙間を活かし、ユーザーの予想外のタイミングや場所からアクションを起こすことの重要性を学びました。このセッションを通じて、他のゲームとは良い意味で異なる、特別な体験を提供できるゲームを自分でも制作してみたいと強く感じました。

無限のプレイ体験!『ハローキティマーチマッチ』における深層学習を用いたオンデバイスレベル生成

大学では情報学を専攻しており、その中で機械学習を学ぶ機会がありました。特に強化学習に興味を持っていたため、このセッションに参加しました。

セッションでは、3Dパズルのレベル生成に深層学習を活用した事例が紹介されました。人の手でレベルを制作する従来の方法には、次の2つの課題がありました。1つ目は、数万ものレベルのゲームデザインを意識しながら制作することが困難な点。2つ目は、パズルを構成するピースであるサンリオのグッズが新規追加された際、それに対応するレベル制作が難しい点です。これら課題を解決するために、強化学習を用いたレベル生成モデルが開発・運用されていました。

大学の授業で強化学習を学びましたが、講義中心で実際の活用イメージをつかみにくいと感じていました。しかし、このセッションでは授業で学んだ内容や用語が随所に登場し、これまで学習してきた知識を具体的な応用例として理解することができました。

最後に

CEDEC2025スカラーシップを通じて、多くの最先端技術や知識に触れ、普段の生活では得られない刺激を受けることができました。難しい内容もありましたが、それも含めて貴重な経験でした。

また、交流ラウンジやDevelopers’ Night、DEDECONなどの交流イベントでは、多くの業界関係者や同じ志を持つ学生と出会うことができました。業界の方からは普段聞けない話やアドバイスをいただき、学生同士でも互いの技術や発想を共有し合う良い機会となりました。

今回得た経験を活かし、今後のゲーム開発や技術向上に努めようと思います。また、この経験を周囲の学生にも共有し、来年度以降のCEDECのスカラーシップに是非応募してもらおうと思います。