3月14日から18日にかけて、アメリカ・サンフランシスコで開催された世界最大のゲーム開発者会議「Game Developers Conference 2016」(以下GDC)。
今年30周年を迎えたGDCは、いまや一人で全体を把握することが困難なほど、来場者や開催規模が拡大しています。
NPO法人IGDA日本は4月2日に「GDC2016報告会」を開催し、各講演者視点によるGDC2016のふり返りを行いました。
本レポートは、全3回予定の1回目となります。
【GDC2016の全体概要】
はじめにGDC2016の概要がIGDA日本理事長の小野憲史氏より語られました。
最初にあげられたのが、過去最大の2万7000人という集客数です。
元々GDCは「Computuer Game Developers Conference」として、PCゲーム開発者による草の根的な勉強会からスタートしましたが、1999年より家庭用ゲームに領域を広げ、現在の名称に改称。その後も年々規模を拡大しています。
その過程でツールやミドルウェアの展示といった「EXPO」、インディーゲームの展示が集まる「GDC Play」と、カンファレンスだけでなく展示エリアも増加しました。また主催権がメディア系企業(現在はUBM Tech)に売却されるなど、GDC全体で商業主義的な意味合いが強くなってきていると言います。
さらに今年はPlayStation VRの価格発表がGDCにあわせて行われるなど、業界全体におけるGDCの意味合いが時代によって変化してきたと説明されました。
またゲーム開発者によって選出される恒例の「GDC Awards」では、「THE WITCHER」「HER STORY」など、ナラティブを重視したゲームの受賞がめだちました。
ネット上で投票が可能な「Audience Awards」でも、時間を巻き戻す力をもった少女が主人公のアドベンチャーゲーム「Life Is Strange」が受賞しており、海外ゲーム開発者の間でナラティブを重要視する傾向が読み取れるといいます。
続いて印象深かったのが、「Downwell」のヒットで彗星のごとくインディーゲームシーンに登場したMOPPIN氏の登壇です。
MOPPIN氏はGDC2016で講演しただけでなく、「Downwell」自体もGDC Awardsのベストモバイル部門とベストデビュースタジオでノミネートされました。
小野氏は、このような勢いのある若手の登場は業界を活気づけるため、今後も活躍が楽しみだといいます。
一方、VRやインディーゲームに影が押され気味のAAAゲームについても、依然として様々な講演が行われています。
特に「WITCHER3」のダイアログエディタの講演は、一朝一夕ではいかない技術の蓄積を感じさせる素晴らしい内容であったと振り返られました。
なお、IGDA日本は開発者同士で情報交換ができる「GDC現地交流会」を毎年、GDCの最終日に開催しています。
元々GDCに参加した日本人同士の交流会として始まりましたが、年々外国人の参加者比率が増加し、今年は日本人と外国人の割合が1対1にまで達しました。
小野氏は「外国人の中でも日本のゲーム業界に興味がある方が多数参加している」とまとめました。