世界最先端のゲームオーディオ技術をチェック!  SIG-Audio#13 GDC2016オーディオ報告会レポート

①日本語翻訳されないサウンドデザイン技術を求めて(講師: 牛島正人氏)

このセッションでは、はじめに牛島氏がGDC参加の目的を述べ、さらに以下3つのパートで報告が行われました。

・Simulating the Race Day Experience:Mixing‘Forza Motorsport 6’
・VR/3D Audio 関連ダイジェスト
・GDC 2016 総括

GDC 参加の最大の目的

牛島氏は GDC に参加する最大の目的として、「日本で得られる GDC ゲームサウンド情報を自分は正しく理解できているかどうかを確認するため」と述べていました。

日本に入ってくる情報のほとんどは英語から日本語に翻訳され日本に入ってきます。しかし、翻訳者のゲームサウンドに関する知識などから、正しい情報が入ってこない事態も考えられます。 またインターネット動画/記事で得られる情報が全てではありません。実際、GDCに参加したことで、日本に入ってこない情報があまりにも膨大に存在することがわかり、ショックを受けたとのことです。

Simulating the Race Day Experience:Mixing‘Forza Motorsport 6’
[講演ビデオ/会員のみ]

「Forza Motorsport 6」では、ゲーム中に搭乗する車種のエンジン音を様々な角度から収録しています。収録した音は映画のミックステクニックを応用して、7.1 chのセットアップを行い、ゲーム中で活用しているそうです。
またプレイヤー車、AI車、コース環境音など、ゲームにおける音情報の重要度を考慮したミキシングを行うことでゲームらしい演出が行なわれていたと解説しました。

VR/3D Audio関連ダイジェスト
       
2016年はVR 元年と一般的に言われています。しかし国内では VR サウンドに関する情報が少ないため、どのような方法で開発をしているのか・・・牛島氏はGDC参加にあたり、このような問題意識があったと言います。

牛島氏は「3D Audioといっても、スピーカーサラウンドとヘッドフォンで考慮するべき点が異なり、 GDC中で少し混乱しました。今後の情報収集においても留意しなければなりません。また英語に比べて日本語での情報量が圧倒的に不足しており、継続的な情報交換や研究が不可欠です」と、3D Audio の情報収集でアドバイスを送りました。

GDC 2016 総括

セッション量/質が総じて高く、Audio TrackPassで参加できるセッションが80以上とのこと。これらを全て見て回ることは不可能で、事前リサーチが必要だと強調されました。
またGDCに参加するメリットとして、開発者に直接質問できることが挙げられていました。どのような実装をしているか質問をすると快く教えてくれるとのことです。

牛島氏は最後に「(海外では)みんなが使えるサウンド技術を内外に公開し、切磋琢磨するコミュニティーを構築することで、 みんなでサウンド職の地位を高め合っていると感じた」と締めくくりました。