NPO法人IGDA日本は香川県ネット・ゲーム依存症対策条例案(仮称)素案について、下記内容のパブリックコメントを2月3日に提出しました。
意見の概要
当法人は、「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例(仮称)素案」(以下、本条例素案)が、専門的知見の調査および専門家の意見を聴取したものではなく検討が不十分であると考えられる点に懸念を表明いたします。本条例素案につきまして、適切な調査・聴取と充分な議論が尽くされることを強く希望いたします。
意見および理由
アメリカ国立衛生学研究所の発表によると、ゲームがギャンブル依存に発展する割合は2.7%程度とされています(原文/日本語要約)。一方、ギャンブルについては国内では既に多くの規制を受けているにもかかわらず、厚生労働省の調査によれば依存症となる割合はは3.6%にものぼります(関連記事)。
WHO(世界保健機関)は国際疾病分類にゲーム障害を追加しましたが、加盟国の一部からは「ゲームと依存の因果関係を証明するのは難しく、疾病認定は時期尚早」との慎重論も出ています(関連記事)。 また、今回規定されている定義は、コンピュータに没頭するあまり、現実のコミュニケーションに支障が出る「テクノ依存症」として定義されているものの類型であるとも考えられます。このように、ゲームが依存症を引き起こしたのか、元々依存症傾向がある人がゲームを過度に遊ぶようになったのかは、必ずしも明らかになっているとは言えません。また、適切な予防法・療法が確立されたものでもありません。
こういった状況にありながら、一律に時間規制をかける条例素案は、専門的知見の調査および専門家の意見に基づいた科学的・合理的な対策とはなり得ず、懸念を抱くものであります。
以上