GDCハイライト#01「ライブサービス攻略:GDC最新レポートの専門家インタビューと業界データ」

IGDA日本はGDC Festival of Gamingの公式メディアパートナーです。このたび公開されたブログ記事および統計資料「ライブサービス攻略:GDC最新レポートの専門家インタビューと業界データ」の要点を箇条書きで掲載します。なお、統計資料はこちらからダウンロード可能です。

  • モバイルゲームは依然として世界的な収益面で優位を保っていますが、トップ層の市場は停滞しています。2024年のモバイルタイトルの収益は1003億ドルに達し、世界のゲーム収益全体の半分以上を占めましたが、チャートの上位は『Honor of Kings』や『MONOPOLY GO!』のような長寿フランチャイズが占める傾向が強まっています。獲得コストの上昇とプレイヤーの疲労により、新規モバイルライブサービスゲームのブレイクスルーはかつてないほど困難になっています。
  • AAA級ライブサービスは完全なブームと崩壊のサイクルを経験し、パブリッシャーは戦略の見直しを迫られています。パンデミック期の投資は過剰拡大と非現実的な期待を生み、プロジェクトが長期的なユーザー維持に失敗すると、キャンセルやスタジオ閉鎖が相次ぎました。パブリッシャーが適切なスタジオインフラなしにライブサービス収益を追い求める中で、慣れない役割を押し付けられたという開発者からの報告もあります。
  • 開発者の感情は特にプレミアムゲーム(いわゆるAAA)を開発しているクリエイター層でネガティブに推移しています。プレミアムゲーム開発者の過半数(53%)が次期プロジェクトをライブサービスにしたくないと回答し、F2P/サブスクリプション領域(27%)のほぼ2倍に達しました。倫理的懸念、過酷な作業を強いるゲームメカニクス、持続不可能なアップデート頻度がこの懐疑的な見方の主な要因です。
  • 減速傾向にあるものの、解雇は依然として広く発生しており、深刻な新人不足を招いています。業界全体では2025年7月までに約4,000人の解雇が発生(前年比10,000人から減少)し、専門家は雇用市場が危険なほど逼迫した状態が続くと警告しています。将来のライブオペレーション担当者やプロダクトマネージャーへの新人育成ルートが「消滅しつつある」状況で、キャリア初期のサポート業務の外部委託化がますます進んでいます。
  • ライブサービス開発が人的コストに与える影響は無視できない水準に達しています。開発者は絶え間ない更新サイクルを精神的負担と表現し、機械のように稼働する圧力が燃え尽き症候群を招いています。専門家はスタジオに対して、勤務時間外のメール禁止、強制的なクールダウン期間、消費指標よりもコミュニティ健全性の優先といった、勤務と勤務外の境界線の徹底を強く求めている。 
  • クロスプラットフォーム(特にモバイル+PC)がパブリッシャーの最優先課題となりました。パブリッシャーはクロスプラットフォームをグローバル展開への最善策と見なしていますが、成功は『フォートナイト』や『グランド・セフト・オート』のような確立されたフランチャイズに偏る傾向にあります。カジュアルゲームは恩恵が少なく、新規IPは直接移植よりもモバイル専用スピンオフの方が成功確率が高い場合があります。
  • モバイルとコアゲームの収益化戦略が急激に分岐しています。モバイルのトップセールスタイトルはガチャ式メカニクスに依存していますが、これはPC/コンソールユーザーから拒絶されることが多い形式です。一方でコアなライブサービスの成功は、購入ではなくゲームプレイに組み込まれたランダム性と、装飾品(コスメティック)主導の収益に依存しています。
カテゴリー: GDC タグ: