CEDECスカラーシップ2019体験レポート④ 大矢根史明

IGDA日本の主催するCEDECスカラーシップ2019に参加させて頂きました、和歌山大学院1年の大矢根史明と申します。今回のスカラーシップで、たくさんの新たな発見をすることが出来ました。

スタジオツアー

初日はポリゴンマジック、サイバード、ディライトワークスの3社に見学に行かせて頂きました。各会社についての説明を聞き、自分の目で見ることで社内の様子を知ることが出来ました。

最初に訪問したポリゴンマジックでは、ポリゴンマジックグループ全体の理念についてお話を聞かせて頂きました。また、映画やドラマ、舞台制作事業についても伺うことが出来ました。私はプランナー志望ですが、プランナーにとってゲーム以外の娯楽に関する知識はとても重要なものだと考えています。ゲームというコンテンツは多くのエンタテインメントコンテンツの一つであり、その中でのゲームの在り方、ゲームで出来る体験とは何かについて自分の中で再考するきっかけとなりました。

次に訪問したサイバードでは、まずオフィスの受付の奇麗さ、オシャレさに驚きました。

社員の方々も皆さんとても話しやすい雰囲気で、プロデューサーの方との座談会では、社内チームの動き方や、他社のIPをお借りする場合の話等、普段であれば僕たち学生が絶対に聞くことの出来ないお話を伺うことが出来ました。

最後に訪問したディライトワークスでは事業内容について説明頂き、特に若手の方がどんな風に活躍しているのかを詳しくお聞きしました。実際に学生である私たちが企業に就職した際に、どんなお仕事をしていくのかを具体的に想像することが出来ました。

CEDEC

CEDECではゲームデザイン系のセッションに多く参加しました。

「大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL」「プリンセスコネクト!Re:Dive」「逆転オセロニア」「Heroes of the Storm」等の多くの国内外のタイトルの開発事例について学びました。

まず、多くのセッションで感じたことは、普段ゲームを遊んでいてもほとんどの場合プレイヤーが気にも止めていない部分に、如何に多くの労力がかけられているか、ということです。

複数の作品のキャラクターを同じ世界に違和感なく登場させる工夫、見ただけで敵の特性が伺えるデザイン手法、快適に遊べるようにするためのプログラムの軽量化、対戦環境の流行デッキの分析とゲームデザインへの反映等、それは職種に関わらず行われていることでした。いずれも、仕事としてゲームを作るにはクオリティに責任を持つ必要がある、という開発者の方々の考えと、作っているゲームに対する誇りが伝わってくる内容でした。

開発者を目指す学生にとって、ゲームを遊ぶ側だけでなく、開発する側の視点を知ることはなくてはならない経験だと改めて感じました。

次に、そういった開発者の方々はとても身近にいるということを強く感じました。家のパソコンの画面の中で見ている時には、まるで違う世界の人のように思えた方と、講演会に参加することで直接お話を伺い、質問や会話をすることさえ出来ました。現場のクリエイターの方と話すことは、私にとって大きなモチベーションとなりました。

特にCEDECでは、周囲にいる人のほとんどが現場の開発者の方です。そこで聞こえてくる話は、楽しそうな内容も大変そうな内容もありましたが、共通しているのは、誰もが「面白いゲームを作ろう」としていることでした。普段学内外でゲーム制作を行ったり、団体運営をしたりしていることは決して無駄では無く、その延長線上にゲーム開発を仕事にすることがあるんだ、と実感出来たことが、何より嬉しかったです。

また、先輩方とのランチミーティング、招待頂いた開発者懇親会のDeveloper’s Nightでも、多くの方と知り合い、多くの会社について学びました。最初は、自分は学生だから、と腰が引けていた部分もありましたが、お話した方は皆優しく、ゲームや仕事のことについて積極的に意見を伺うことが出来ました。

最後に

ゲーム業界への就職を志す学生にとって、CEDECという場所は非常に魅力的で、是非参加して欲しい場だと思います。その一方で、企業の方がほとんどである場所の中に飛び込んでいくことは学生にとって心理的なハードルも高く、また参加するための費用も決して安価ではありません。

IGDAスカラーシップに参加することで得られたものは参加パスだけでなく、そういった場所へ飛び込んでいくきっかけと、ともに同じ立場を共有出来る学生の仲間でした。しかもそれはこの場限りのものではなく、先輩たちから私達へ、私達から後輩へ続いていく人脈にもなると思っています。

このような機会を与えてくださったIGDA日本、運営として私達学生を案内してくださった小野さん、メンターの先輩方、訪問させて頂いた企業様に、この場を借りて改めてお礼を申し上げます。