CEDEC2016スカラーレポート④瀧下祐子

この度、IGDAのCEDEC2016スカラーシップに参加させていただいた、筑波大学の瀧下祐子と申します。今回のスカラーシップに参加させていただいた内容について記させて頂きます。

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私は幼い頃からよくゲームで遊んでいて、それが高じて現在はゲームクリエイターになりたいと思っています。今所属している大学では、情報学分野の基礎学問や研究に関する知識を学んでいますが、ゲームに直接関連した分野の知識はあまり得られませんでした。この時、今回のスカラーシップの募集を見つけ、CEDECであればゲームの開発で活用されている技術や研究内容を幅広く知ることができるのではと思い、参加を希望することにしました。結果的に、今回のスカラーシップで一緒に参加したスカラーシップのメンバーと共に非常に刺激的な経験をさせてただくことができました。

CEDEC開催前日の1日目に、スタジオ訪問ツアーということでゲーム制作会社の3社を訪問させていただきました。最初はDeNAさんを訪れ、社内での開発の様子を見せて頂き、その後双六を題材にしたワークショップを行いました。初対面であるスカラーシップ生のメンバーとチームを組み、空欄になっている双六のマス目に好きな内容を書いてシートを作成しました。最初は仲間内で考えて書き、完成した後にアドバイスを貰い、合計3回マップシートを作成するという内容だったのですが、回を追う毎により楽しくて遊びやすいシートになっていき、メンバーと意見を出し合う工程の重要さを実感すると共に、実際のゲームを制作する際にどのような点に気を付けるべきなのかといった知識を実践の上で得ることができました。

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ジープラさんでは、社内で開発を行っているプログラマの方の話を聞いたり、代表取締役である鶴谷さんの話を聞きました。どういう経緯で会社に所属することになったかや、どういったツールや技術を利用しているのかを聞くことができ、より具体的な現場の認識を持つことが出来ました。また鶴谷さんの話の中の日本では海外のゲームやアプリの普及事情を知らない人が多いと言われていたことが印象的でした。確かに、自分の周りでも日本製のコンテンツを遊ぶことが多く、世界規模で普及し、受け入れられているコンテンツにはどのようなものがあるのかを知り、応用できるように学んでいくべきだと感じました。

Aimingさんでは、社内の開発現場を見せて頂いた他、スカラーシップ生のそれぞれの希望の職種ごとの社内の開発者の方々にお話を聞かせていただくことができました。Aimingさんでは、ネットワークを使用するアプリケーション開発において、クライアント側とサーバー側を分けて担当するのではなく、両サイドを同じ人が開発しているという話を聞きました。勉強することは多いけれども、それによって両方の内容をより深く理解することができ、結果的に開発の効率を上げるだけでなく、開発者自身のためにもなるということを聴いて、開発を進めていくスタンスの1つとして大変参考になりました。

3社を訪問させていただくことで、日頃見られる機会が少ない開発現場を目にすることができ、現在のゲームがどのように制作されているのか、また自分がゲームを制作する際にどのように活動することになるのかといったことについてより深い認識を得ることが出来ました。

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2日目から4日目までは、朝から講演終了までCEDEC2016に参加しました。CEDECは、以前より聞いていて興味があったのですが、参加するのは今回のスカラーシップで初めてでした。大手企業の方から個人開発をしている方、学生、海外の開発者の方まで会場にいるのがゲーム制作に関わる方々ばかりで、ここまでゲームに関わる人しかいない環境に居られることが初めてで非常にワクワクしました。

講演は、金出先生の基調講演に始まり、エンジンに関する話からAI、グラフィックに関わる話まで、様々な種類のセッションを拝聴しました。デザイナーの方のゲームのグラフィックやUIデザインにおいてどのようなこだわりを持って作られているかを発表するセッションや、ゲームの開発環境について開発者同士で意見を出し合い議論するラウンドテーブル、ゲームに応用できる研究内容など、開発現場の生の声を聞くことができたということが、今回CEDECに参加して一番と言えるほど有意義な経験でした。

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見た講演はどれも印象深かったのですが、モバイルTCGにおけるAIの活用事例や思考エンジンに関するセッション、FPSにおけるキャラクターアニメーション生成に関するセッション、次世代技術研究に関するセッションなどは、本当に新しく目から鱗の情報ばかりで、こういった技術によって最新のゲームが制作されているんだという感銘と、こういった技術の発展に貢献できるようになりたいという思いが強まりました。見ることが出来なかった講演もたくさんあったのですが、後日上げられた資料を読みながら幅広い知識を理解したいと思っています。

また3日間とも、ランチミーティングでゲーム開発の関係者の方々に様々な分野のお話を聞かせていただきました。ゲームに対する考え方などを聞かせていただくことができ、将来どのような事を関わればよいのかについて考えることが出来ました。2日目夜のデベロッパーズナイトでは、小野さんに業界の様々な方を紹介していただいたり、同じく学生で参加していた方々と話し開発の体制や現状などの情報を共有したりなど交流を深める事ができました。

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今回CEDEC2016に参加させていただき、今ゲームを開発している方々がどのような知識を持っていてどのように使っているのか、またそれらをどのように共有してどうやってよりよい環境にしていこうとしているのか、どういった研究を進めているのかなど、大学では知ることが出来なかった非常に多くのゲームに関する専門的な知見や認識を得ることが出来ました。

最先端の制作現場の情報を得られることは、今後学習や研究を進めていく上で非常に貴重な経験となり、今後自分の制作や研究を進めていくモチベーションとなりました。非常に貴重で良い機会を得ることができました。今回のスカラーシップの案内をしてくださった小野さん、藤原さん、尾形さん、会社の案内をしてくださった皆さん、お話をさせて頂いた皆さん、この度は貴重な経験をさせていただきありがとうございました。今後もゲーム業界に貢献できるよう、自らの活動を精進していきたいと思います。