ゲームシナリオライターの活躍する場は無限大/寺田 憲史氏を迎えて開催されたSIG-GSセミナーレポート

ゲーム業界とシナリオライターの乖離

当日の配付資料

「ドラゴンクエスト」「ファイナルファンタジー」をはじめ、数々の大ヒット作が誕生していったゲーム業界。
いつしかアニメ業界よりも業界規模が大きくなり、アニメ業界の優秀な人材が、ゲーム業界に流れていく現象が発生しました。

作品の規模が大きくなるにつれ、求められるシナリオ量も増加していきます。
プレイステーション2レベルのRPGで必要なシナリオを映画に置き換えると、映画3本分ぐらいの物量が必要になるのだとか。
そこまで書けるゲームシナリオの専業ライターは、なかなかいないのが現状だと寺田氏はあかします。

そのためテレビドラマや映画のシナリオライターにも、ゲームシナリオ作成の依頼が来ることに。
しかしゲーム開発の現場の人間と、会話が成り立たないことも多く、ミスコミュニケーションが生まれやすい状況に陥っていると指摘されました。

一方で漫画、アニメ、ゲームに親しんでいた人間にとっては、オタク文化の「なんとなくの共通語」や「お約束」が肌感覚でわかっているのも事実。
そのため開発現場で、社内外の「シナリオがわかっている」人間に書かせ始めたことが、ゲームシナリオライターが生まれたきっかけではないかと寺田氏は推測します。

しかし、こうした「習うより慣れろ」の風潮では、ゲームシナリオの共通認識を外部のクリエイターと共有することが、なかなかできません。
そのため現場の人間が過去の作品に例を習うしか方法はなく、過去の名作を超えるものがなかなか作れないといった状況にゲーム業界は陥っていると、寺田氏は警笛を鳴らしました。