デジタルからくり装置作りワークショップ in 本郷3 開催レポート

NPO法人国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本)は「デジタルからくり装置作りワークショップ in 本郷3」を2019年12月21日(土)に東京大学情報学環オープンスタジオで開催しました。2017年11月3日に初開催し、今回で3回目となる本ワークショップでは、教材を一新。参加者全員で一つの成果物を作るというコンセプトはそのままに、新たにデジタル地図を用いた調べ物学習の要素が加わりました。

本ワークショップはゲームエンジンのUnity上でドミノ倒しのようなコンテンツを共同制作するというものです。1回のワークショップは最大10名で実施され、個々の参加者が並べたドミノをつなげて、1本の長いドミノ倒しを作成することが目的です。ドミノが途中で止まってしまわないように、ステージの前後で連結性を考えて作る必要があるため、集団での協業が自然と促進される仕組みです。

また、それぞれの空間には別途「お絵かきワークショップ」で作成したキャラクターを自由に配置させられます。お絵かきワークショップはクレヨンで作成したキャラクターをPCのカメラでキャプチャすると、デジタルデータに変換されたキャラクターが仮想空間内で動き回るというものです。キャプチャされたデータはクラウド上に保存され、自分のステージ上に配置させられます。

ドミノ倒しの作成には論理的思考力、キャラクターの作成には芸術的な感性が求められるため、参加者は自分の特性に合わせた作品制作ができます。これによりスキルの異なる複数の参加者が集まって、一つの作品を作る意味が理解できます。エンタテインメントコンテンツならではの、他人を楽しませる作品作りも体験することができます。

その上で今回は3DCGで作られた東京都の地図がステージとなりました。地図は国土地理院が提供している地形データが使用されており、参加者は実際の地形上にドミノを並べることができます。また、ワークショップの前半では公共施設や名所旧跡などを探して、のぼりのようなラベルを設置する時間も設けられました。参加者の中には自宅を探して、そこにラベルを張る者もいました。

今回のワークショップはこれまでと同じく、午前と午後の二回に分けて実施され、合計で18人が参加しました。内訳は男子が15名、女子が3名で、小学校低学年が10名、高学年が4名、中学生が2名、未就学児が1名でした。保護者と一緒に参加する例も多く、中には保護者の方が熱くなってしまう姿も観られたほどです。

午後の会では見学に訪れた地域プログラミング教室の運営者や、外部評価委員も飛び入りで参加。子どもから大人まで一緒になってワークショップを楽しみました。また、子供たちの付き添いで参加した保護者の中から、プログラミング教育の高まりと共に、「大人向けのワークショップも開催して欲しい」という声も聞かれました。

本ワークショップは国土地理院の地形データを使用している関係で、教材をネット上に公開していません。ただし前回までの教材については、ワークショップの進め方と共に、ネット上で公開しています。お絵かきワークショップについても同様で、誰でも自由に楽しめます。興味がある方がいればぜひアクセスして、体験してみてください。

https://github.com/mnagaku/sig4ng-wshttps://drawws.kgr-lab.com/?lang=ja

本ワークショップは公益財団法人中山隼雄科学技術文化財団の助成で開催されました。また、株式会社Project White(TSUKUMO)から機材協力を得ました。IGDA日本では今後も日本全国の会場で実施していく予定です。