TGS 2023 スカラーシップ体験レポート⑩鈴木雄太

京都コンピュータ学院駅前校デジタルゲーム学系ゲーム学科の鈴木雄太です。

今回はIGDA日本様のスカラー生として出展側として参加させていただきました。

初めての出展社側での参加ということで、展示までの期間で感じたものや展示期間中に得た経験をお伝えできればなと思います。

出展作品

今回のTGSにて、「HOME TO HOPE」というゲームを展示させていただきました。

現代の画面で流れてくるモノや人を見極め、未来画面に不利益を与えるものを廃棄し未来を発展させていくシミュレーションゲームになります。

このゲームの製作は4月末開始のBetsiamitesGameJam2023からスタートし、Betsiamites2023ではGAME JAM AWARDを受賞させていただきました。

そこから渋谷での展示や今回のTGSに向けて、既存の要素のブラッシュアップや新要素の追加を行い、合計で約5ケ月かけて制作したゲームになります。

TGSに展示するにあたり追加した要素として、Betsiamitesでは元々現代画面と未来画面を分けた二画面でプレイするゲームとなっており、一般的な環境では遊ぶことが困難だったのですが、今回はたくさんの方にTGSでの展示後も遊んでもらえるよう、新たに一画面・二画面の選択と言語選択も追加しました。

また、Betsiamites~渋谷での展示で頂いた「未来画面を確認する要素」というフィードバックを反映したものとして、未来画面に表示される電池を確認しながら現代画面で発電を行うという要素も付け加えました。

開発期間中に感じたこと

この5か月間の制作を通して一番感じたのは、「初見の方からのフィードバックの重要性」です。

HOME TO HOPEはいわゆる間違い探し(厳密には違うが)のゲームであり、物が流れるベルトコンベアの速度や間違いの割合、クリア条件などの数値を調整する中で、どうしても[このゲームへの慣れを前提とした調整]になりがちでした。

しかし、Betsiamitesや404 NOT FOUNDでの展示の際に遊んでいただいた方のプレイの状態や、難易度に対してのフィードバックを頂くことでTGSの最終ビルドでは『初見でも無理なく遊べて、2回目、3回目もやりこめる丁度いい難易度』に仕上がったと思います。

いままで長期での開発、及び不特定多数の方に生の声を頂ける場というのを経験したことが無かったので、今回でフィードバックの重要性を体感できたのは、今後もゲームを制作し、ゲーム業界を目指す身としては一番大きい収穫ではないかなと思います。

また、もう一つ大切だと感じたことは「チームメンバーとのコミュニケーション」です。

今回の製作はJam開始時にランダムで選ばれたメンバーで行っていたのですが、周りのチームがコミュニケーション不足で崩壊していく中、私たちのチームはBetsiamitesの展示まで誰一人として欠けることなく、その後の制作では一人脱退してしまいましたが、それでも全員がそれぞれの役割を全うしてTGSの展示まで漕ぎつけることが出来ました。

[常に良好でないといけない]とは思いませんが、メンバーとのコミュニケーション取れる状態を保つということの大切さの再確認をすることが出来ました。

TGSでの展示

「開発期間中に感じたこと」でも述べましたが、やはり[展示をする=生のプレイを見られる]というのがすごく大きかったです。

発電の要素を加えたゲームデータの公開はTGSが初で、『プレイヤーにとって面白い要素か・また、面白い難易度になっているか』が分らなかったため初日は緊張しましたが、初回からかなり好印象な評価を頂けました。

しかし、プレイ画面を見ているとかなり余裕をもってクリアできてしまう難易度になっていたため、2日目が始まる前に修正してビルドを行い、完璧な難易度に近づくまで現地でもホテルでも調整とビルドを繰り返しました。

そして4日目の展示の段階で約6回のビルドを行い、かなり絶妙な難易度を作り出すことに成功しました。

HOME TO HOPEはTGSが一応の最終目標となっておりましたが、そのTGS中にも「フィードバック」と「メンバーとのコミュニケーション」が面白いゲームを生み出すために重要であるということを感じ取れました。

最後に

今回、IGDA日本様のスカラー生として出展社側で参加させていただき、同じ志を持つ学生の方々を知れたこと、GCG様含め、様々な企業の方に認知してもらえたこと、そして、自分がスカラー生に選んでいただけるほどのゲームにプランナーとして関われたこと、そのすべてが自分の将来にプラスに働くと思える良い4日間でした。

貴重な機会をくださったIGDA日本の皆様、本当にありがとうございました。