Global Game Jam 2026 参加者募集中・直前イベント情報

GGJ2026 直前イベント週間はじまる

理事の山根です.1月末に開催されるGlobal Game Jamが今年もやってきました.この記事ではGlobal Game Jamの過去記事をふりかえりながら,今年の会場の動向と直前イベント週間について紹介します.


ゲームジャムという言葉はもともとインディーゲームシーンから生まれた(奥谷海人「Access Accepted第341回:開発者の心を支えるゲームジャム」など参照).それを若手(当時)のゲーム研究者イェスパー・ユールが北欧に持ち帰り,デモパーティー文化を背景としてアマチュアも参加するイベントNodric Game Jamがはじまった.それを(IGDA Japanなど世界各地の支部を持つ)IGDAの人材育成専門部会(Education SIG)がネットを介したグローバルイベントにしたのが「Global Game Jam」だ.つまり,ゲームジャムそしてGlobal Game Jamは歴史的に「インディペンデント」「デモパーティー」「高度専門家人材育成」という複数の異なる文化から生まれてきたもので,それゆえに幅広い入り口と出口を持っている.(なおゲームジャムという言葉が生まれる以前から,ゲーム開発ツールを使わずゲーム開発者も参加しない短期ゲーム開発イベントは学校などで行われていた.本記事では除外したそれらについては2023年出版の英語論文集『Game Jams』が詳しい.)

実は2009年にGlobal Game Jamがはじまっとき,筆者は日本ではまだタイミングが早いのではないかと思っていた.というのも海外ではIGDA Education SIGで登壇するゲーム開発者教育のトップスクールがゲームジャム会場になっていたが,日本にはゲーム開発をしている高等教育機関は少なかった(専門学校も当時はゲームエンジンの導入に消極的だった).実際,GGJ2009の国内会場は京都のキューゲームズだけだった.だがうれしいことに筆者の想像を超えて,GGJ2010ではCG-ARTS協会尾形氏の紹介により,JAIST(北陸先端科学技術大学院大学),東京工科大学,そして同人サークルが国内会場を開いた.そしてIGDA日本でも国内会場の開設を支援して,翌年のGGJ2011では東京に加えて学生主体で福岡・札幌会場が開設された.そして同年3.11東日本大震災を経て,IGDA日本は夏の福島ゲームジャムを立ち上げ各地の会場を結ぶことになる(日本語報告 2011, 2012). こうしてゲームジャムが予想を超える短期間で国内に普及したのは各地の方々の尽力のおかげだ.いまでは(かつてのように)ゲームジャム会場を開きたいという相談者をIGDA日本が支援することも少なくなり,各地のゲームジャムコミュニティ独自の活動が大きくなっている.

GGJ2026の会場

Global Game Jam2026で参加者を募集している会場は公式ページの世界地図に表示されており,北は北極圏トロムソから世界最南端の都市ウシュアイアまで,世界各地で1万4千以上の会場で参加者を募集している(今年は南極基地ではやっていない).日本会場も北は札幌から南は沖縄まで,以下の全17会場が参加者を募集中だ.

  1. 札幌会場
  2. 福島会場
  3. MyDearest 浅草橋会場 (対面のみ)
  4. ヒューマンアカデミー秋葉原校会場
  5. Let’s Games! Tokyo六本木会場
  6. Pickle 吉祥寺会場
  7. 東京工科大学 八王子会場 (対面のみ)
  8. 奥多摩会場 (対面のみ)
  9. 川越会場
  10. 湘北短期大学 厚木会場 (対面のみ)
  11. 名古屋 名古ゲ部会場 (対面のみ)
  12. 瀬戸内 in 岡山会場 (対面のみ)
  13. 瀬戸内 in 広島会場 (対面のみ)
  14. 福岡会場
  15. 熊本会場
  16. 鹿児島会場 (対面のみ)
  17. 沖縄会場

GGJの公式マップでは,世界の会場を参加者数順に並べることもできる.それを見ると(一時期はコロナ禍でオンライン開催のみになったが,)世界各地で数百人規模の巨大会場が復活したことがわかる.(巨大会場のメリットとしては,食事の提供やスポンサーからのデバイス提供を受けやすい点がある.たとえばGGJ26ではスポンサーから嗅覚VRデバイスの提供が発表され,選ばれたのは欧米各地の大型大学会場だった.) 本記事執筆時点で,日本国内では東京工科大会場が定員150名で最大規模だが,それでも参加登録者数には余裕がある.また国内会場は対面形式だけでなくリモート参加も受け入れる「ハイブリッド会場」も多い.(GGJ2024でも指摘したが)どの会場も平等に同じGlobal Game Jamルールの下で開催されるのに,色々と個性的な会場ができることに感心している.ゲームジャム巨大会場に投資する国(全国の有志学生に旅費を支援して首都会場に招集する国もある)も少なくないが,国や業界の支援を受けずに草の根で発展してきた日本のゲームジャム会場はゲーム先進国の中では異彩を放っている.
たとえば国内17会場の多くは初心者歓迎だが,18歳以上の会場ばかりではなく保護者同伴で児童を受け入れる会場もある.また日本語限定の会場もあれば英語も受け入れる会場もある.
そして,ノートPCだけではなくボードゲーム開発や自前デバイスを使った開発を受け入れる会場もあれば,生成AIを使った物語の実験に特化した会場もある(MyDearest 浅草橋会場).
場所も大学施設だけでなく,ゲーム・メタバース企業の会議室で開催(札幌会場・MyDearest浅草橋会場・岡山会場),公民館(夜間閉館)で開催される会場,奥多摩の古民家(2024年の取材記事2023年のKickstarterページ)や,定員が少なく「これは自宅で合宿しているのでは?」と思われるような民家の会場もある.
こうして見ると,GGJは「開発時間48時間以内でゲームを完成し,全世界にリリースする」という同じ条件のもとで,巨大会場から民家まで,様々なスケールで熱意のある誰もがゲーム開発を体験できるイベントだと実感できる.

他のゲームジャムにはないGGJ独特の面白さは,こうした同じポリシーの下で過ごしたグローバルのコミュニティから,様々な成功や失敗を目撃し共有できるところだ.たとえば公式サイトではGGJ作品を改善し続けた世界各地のエピソードも紹介されており,同じ条件下で生まれたサクセスストーリーを共有できる. (ここで紹介されているサクセスストーリーの中には参加者のに印象に残るプロジェクトも多い.私の見聞きした範囲だと日本の専門学校生が参加してクラウドファンディングに成功した『Proppa』,GGJ初期に東京ゲームショウに出展した『Mushroom 11』,来日して岡山でのGDC報告会でも参加交流したスイスの「Schlicht』,IGF2016で受賞したVRパーティーゲーム『完全爆弾解除マニュアル:Keep Talking and Nobody Explodes』など,他会場のニュースに我々も刺激を受けた.

また昨年からGGJはインディーゲームスタジオのスタートアップ支援も開始している.GGJの公式サクセスストーリーに掲載するゲームスタジオを募集したり,国情に合わせた起業広告掲載料の設定により,戦時下のウクライナや第三世界のインディーゲームスタジオが広告に並んでいるのは他のゲームコンテストには見られない,グローバルなインディーゲームシーンを感じさせる.

GGJ2026直前イベント(01/19-01/24)

さて,現在参加者募集中のGlobal Game Jam 2026の直前イベントを紹介する.日本時間の1/19-24まで,GGJ公式の直前配信が毎日行われている.GGJのスポンサーは過去には開会式のオープニング動画に登場してきたものの,あまり参加者の印象には残らなかった.こうして事前生番組を配信することで幅広いスポンサー(ゲーム開発を支援するゲームエンジンメーカーやパブリッシャー,国際機関など)によるゲーム産業界の裾野の広さを伺うことができる.
今年の日替わり配信の顔ぶれは以下のとおり(日時は日本標準時).

  • 1/19 26時 Games for Change: All in for Nature (G4Cと国連気候変動対策プロジェクトとのコラボ)
  • 1/20 26時 Epic Games: From Idea to Playable in UEFN
  • 1/21 05時 Unity: GGJ必携
  • 1/21 23時 GGJ 会場運営者 Survival Guide
  • 1/21 26時 Diversion (バージョン管理)
  • 1/22 05時 OVR Technology (匂いVRデバイスを希望する会場に配布した)
  • 1/22 23時 GGJ Indie Jammer Guide (ゲームジャム作品の製品化やゲームスタジオ起業にこぎつけた先輩インタビュー)
  • 1/23 02時 Xsolla (ゲーム開発者向けの決済・流通サービスを提供する企業)
  • 1/23 05時 Panda Game Manufacturing (ボードゲーム製造メーカー)
  • 1/24 03時 Games for Change: Outgrow Hunger (G4Cと世界食糧機構WFPとのコラボ)

世界規模のゲームジャムにふさわしく,国連機関からインディースタジオまで幅広いラインナップだ.ご覧のとおり日本時間では深夜に配信されるが,配信終了後すぐに公式のYouTube/Twitch録画へのリンクが追加され,録画を見ることができる(そのかわり録画では配信者に直接質問することができない).

この直前ウィークが終わったら,いよいよGlobal Game Jam本番だ.日本時間で1月26日月曜日の午前2時からGGJ26のテーマ発表がネット配信され,会場ごとに開始時刻に集まって48時間ゲームジャムの開始となる.
最後に,会場に足を運ぶ人は事故に気をつけて.積雪で交通がマヒするなどのトラブル対策も立てていこう!