Game Developers Conference 2018 日本語情報(その3 サミット)

GDC2018日本語情報の特設ページです。3月19日(月)~3月23日(金)のGDC1日目~2日目に開催されるサミットの目玉セッションの参考訳情報を掲載しています。

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サミット|AIサミット|コミュニティマネジメントサミット|エデュケーションサミット|ゲームナラティブサミット|GDCモバイルサミット|インディペンデントゲームサミット|ゲームUX

ゲームAIサミット

2018年3月19日(月)〜20日(火)のAIサミットで、成功した商用ゲームの鍵となるアーキテクチャと課題を内側から見てみましょう。ゲームAIは前進させることができる会話や意見の戦わせが加わるパネルディスカッションやレクチャーに参加してください。 AI Game Programmers Guildの集まりとして組織されたこのサミットは、より深い洞察を求めている中級から上級のプログラマーを対象としていますが、AIが次世代ゲームで提供できることに関心を持つ人は、貴重な洞察を得られるでしょう。

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知識は力なり:ゲームAIにおけるナレッジ提示概論
Knowledge is Power: An Overview of Knowledge Representation in Game AI

Daniel Brewer (Lead AI Programmer, Digital Extremes)
Rez Graham (Senior AI Programmer, Independent)

ゲームエージェントがどのように判断を行なうかの設計は多くの時間が割かれる工程です。しかし、いかなるアーキテクチャにおいても、ほとんどの判断はワールドからの情報が必要になります。実際、判断(およびそれに伴う行動)はしばしば、AIが活用できるデータの質に直接影響されます。そのため、そのようなデータを効率的で、解釈が容易な形式で供給する必要があります。本セッションでは情報の提示方法、提供方法について様々なテクニックを紹介し解説し、アクションゲーム向けのシステム、すなわちターゲット情報や環境認識などを扱います。また、RPGやシミュレーションゲームにも応用しやすいテクニックなどにも言及します。

得られるもの
参加者はAIシステムにより濃密な情報を効率的かつ解釈が容易な形で提供する様々なテクニックについて学んで理解し、従事するプロジェクトでNPCの反応を改良する一助にできるでしょう。


「Race for the Galaxy」制作におけるニューラルネットワーク活用例
‘Race for the Galaxy’: A Neural Network in Production

Theresa Duringer (CEO, Temple Gates Games)

ゲームAIにおけるニューラルネットワークは長い間、懐疑的な目を向けられてきました。しかし実際には、とりわけリソースの限られた小規模チームにとって、ニューラルネットワークの採用が適切どころか、効果的かつ時間を節約できるアプローチになりうる場合があります。本レクチャーではボードゲームのデジタル化作品である「Race for the Galaxy」に採用している時間的差分学習駆動のAIについて解説します。ナレッジに依存しないこのシステムでは訓練データの生成に人間による入力を必要とせず、AIによる自己対戦を通じた上達が可能となっています。Temple Gate Gamesのチームはこのアプローチを通じ、複雑なAIのチューニングに通常必要とされる大幅な工数を必要とせずに、AIプレイヤーの手強さを劇的に改善しています。

得られるもの
受講者はボードゲームのAIにニューラルネットワークを採用するべき理由、および、どのようなゲームが最も適しているかを学べます。パフォーマンスを維持する方法、シンプルさやコンパクトさを犠牲にせずに分岐を設計する方法、そして非ナレッジ依存型のシステムで時間的差分により訓練データを自動生成する方法について知ることができるでしょう。


最前線でのトリアージ:「マフィアIII」リリース後のAI改善
Triage on the Front Line: Improving ‘Mafia III’ AI in a Live Product

Sergio Ocio Barriales (Lead AI Engineer, Hangar 13)
Kate Johnson (Senior AI Designer, Hangar 13)

AIの変更やテストはそれだけでもかなり大変な作業ですが、リリース直前や直後は小さな変更でもゲームバランスを崩壊させたり、スクリプトを破綻させたり、ミッションの仕組みを脅かしたりしうるため、リスクがさらに高まります。開発チームは真逆の意見をも含むユーザーからのフィードバックを慎重に吟味し、できるだけ広い範囲のプレイヤーに有効な結果をもたらす変更を見極める必要があります。本セッションでは Hangar 13 が「マフィアIII」のAIに関するフィードバックの優先順位づけと対応を進める際に編み出した手法、および、変更のトリアージおよびテストに際したルール作りについて解説します。また、その過程で解決された実際の問題についても例示します。

得られるもの
受講者はリリース済みのゲームのAIに対する、部内からの報告やプレイヤーからのフィードバックを発端とする修正や変更を、ゲームプレイを破綻させたり入念なバランステストを水泡に帰することなく適用するための、アセスメント、計画、実装に関するノウハウを得ることができるでしょう。


うねる道筋を辿るには:Curvature を使ったユーティリティAIの設計
Winding Road Ahead: Designing Utility AI with Curvature

Mike Lewis (Project Technical Director, ArenaNet)

AIシステムの構築でしばしば最難関となるのが、設計担当が可能な限り直感的な方式でビヘイビア設計ができるようにする工夫です。本セッションではその点に注目し、機能的で使いやすいツールは必ずしも複雑である必要はないことを実演します。講演者の手によるオープンソースでフリーなAI設計/プロトタイピングツールである「Curvature」を軸に、設計担当がナレッジ提示を指定したり、複雑な判断の設計を可能にしたり、仮想サンドボックス内でビヘイビアを確認したりする方法を紹介します。設計担当がAIがどんな理由で何をしているかを理解できるようなシステムを、いかにプログラマーが構築できるか、という点に注目します。

得られるもの
受講者はAI設計ツールの力と可能性の実例を知り、設計担当がより高性能なAIを設計できるような自製ツールを構築するためのヒントを得られるでしょう。



コミュニティマネジメント・サミット

2018年3月20日火曜日のコミュニティマネジメント・サミットで、コミュニティの意見や採用の浮き沈みを通じて、ユーザーのロイヤリティや熱狂を引き起こし、作り上げ、維持する方法を学びましょう。業界の専門家が、最先端のコミュニティ管理の戦略ケーススタディやポストモーテムを共有します。コミュニティのニーズと関心をあなたの会社のゴールに合わせわれるティップスを学べます。


コミュニティの心のケア:線引きはどこで?
Managing Your Community’s Mental Health: Where’s the Line?

Jennifer Hazel (Doctor, Executive Director, CheckPoint)

コミュニティマネージャーの仕事をしていると様々な種類の人々に遭遇しますが、その中に人格に弱さやメンタルヘルス面での問題を抱えている人物が多く含まれる可能性は非常に高いと言えるでしょう。コミュニティマネージャーは扱いの難しい言動をする個人に対応したり、まるでセラピストのような役回りを担うこともあります。本セッションでは コミュニティマネージャーが直面しがちな人格障害やメンタルヘルス面の事例をJennifer Hazel医師(CheckPointのファウンダー)が紹介します。その後、自信をもった線引きの決めかたや、感情労働に取り組む際に大事なセルフケアに関するアドバイスもカバーします。

得られるもの
受講者はメンタルヘルス系の問題の兆候や症状を検出しやすくなり、コミュニティマネージャーの仕事に関連してどのような形でそれらが現出しうるかを理解できるでしょう。また、自信をもって線引きを決められるようになるでしょう。また、重要なセルフケアのノウハウを身につけ、その活かしどころを知ることができるはずです。


クロスプラットホームのMMOにおけるコミュニティ分断対策
Bridging Community Divides in Cross-Platform MMOs

Eric Cleaver (Senior Community & Social Media Manager, NetEase Games)
EM Stock (Director, Customer & Community Relations, NetEase Games)
Linda Carlson (Director of Community Relations, Trion Worlds, Inc.)
Ted Stone (Senior Community Relations Manager, Daybreak Games Company)
John Bergman (CEO & Founder, Guild Software, Inc.)

MMOのコミュニティは均質ではありません。最近は複数のプラットホームにまたがるMMOも多く、コンシューマ機とPC、PCとモバイル、ものによってはその3つすべてをターゲットしています。コミュニティの言動やニーズや要望はプレイしているプラットホームによって劇的に異なる場合があり、プラットホームを問わずプレイヤーに通じる言葉を選んでいけるかはコミュニティマネージャー次第です。本セッションではクロスプラットホームMMO複数タイトルの熟練コミュニティマネージャー一同がコミュニティへのはたらきかけに際した共通の不文律、プラットホームごとの配慮事項、そしてコミュニティ管理が不適切だとどんな落とし穴が待っているかについて話し合います。

得られるもの
クロスプラットホームMMO複数タイトルの熟練コミュニティマネージャー一同から、複数プラットホームでのコミュニティへのはたらきかけに際した共通の不文律、プラットホームごとのコミュニケーションの配慮事項、不適切なコミュニティ管理の落とし穴について聞けるでしょう。


エデュケーション・サミット

2018年3月19日(月)〜20日(火)のエディケーションサミットで、最も革新的でエキサイティングなゲーム教育のアイデアを発見しましょう。次世代の学生のために、分野を進歩させる講座運営や実験的アプローチを持ち込むためのベストプラクティスを学びましょう。確立されたゲーム開発プログラムの教育者から、プロの開発のための新しいゲームコース創設者と、一緒に探求に取り組みたい方が参加してください。

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専門家視点および同僚同士でのフィードバックによるゲームプロジェクト評価の改善
Improving Critique of Game Projects with Expert and Peer Feedback

Jessica Hammer (Assistant Professor, Carnegie Mellon University)
Martin Pichlmair (Co-Founder, Broken Rules)

デザイン教育においても、商業用のクリエイティブ制作でも、ゲーム分野の教育者は常に未完成の作品に対して評価を求められます。本セッションでは評価に関するベストプラクティス、よくある課題、そして効果的なフォーマットをご紹介します。Jessica Hammer と Martin Pichlmair が専門家主導の評価についての判断材料と、ゲームプロジェクトでの同僚同士でのフィードバックを改善する実験的な試み2件を紹介し、適切な評価方法を選択して採用する際の配慮事項を検討します。これらは教育方面由来のアプローチながら、ゲームデザインからビジュアルアートまで、幅広いジャンルのデザインに適用可能です。

得られるもの
受講者は教育もしくは商業用のクリエイティブ制作における評価の実践について思案する一助となるでしょう。開発プロジェクト中にどのような枠組みで評価を行うべきなのか、学生や同僚の仕事をどのように批評すべきなのか、そして講座内もしくは社内での評価の方式を新たに生み出したり運用したりする方法について学べます。学生仲間や同僚のデザイナーから有用な評価を得やすくするための工夫も扱います。


障害への対応:学生の生活と成長を手助けするには
Disabilities: Helping Students Survive and Thrive

Henry Bawden (Assistant Professor, Columbus State Community College)

どこの大学課程にも障害をもつ学生さんが在籍しています。ゲーム開発系の課程はとりわけ障害をもつ学生さんが多く参加しています。これにより、情報の共有のみならず、教育に際して独特のハードルが伴うことがあります。本セッションでは Henry Elmo Bawden がこの課題への取り組みの経験を紹介します。ハードルを乗り越えつつ、障害をもつ学生さんが皆さんの講座にもたらす個性的で素晴らしい強みを活かせるようにサポートできるように、成功事例や応用できる方法論を共有します。

得られるもの
受講者は現行のカリキュラムに適用可能な方法論を学べます。学生さんとの交流や、学習・履修継続、サポート体勢構築、そして成果を高めるようなカルチャー醸成の一助となるでしょう。障害に関するセッションですが、あらゆる学生さんの参考になるはずです。


毎週1本:学生へのプロトタイピング指導
Game a Week: Teaching Students to Prototype

Douglas Wilson (Co-Owner, Die Gute Fabrik)
Bennett Foddy (Assistant Arts Professor, NYU Game Center)

本セッションの両スピーカーは Experimental Gameplay Project にヒントを得て、一学期間を通じて学生が1人もしくはペアで、毎週デジタルゲームを1本制作するという講座を2通りのバリエーションで教えてきました。これにより高評価を得た有効なプロトタイプ群、そして短時間で技術的スキル、デザインの柔軟性、そして創造的ビジョンが向上した複数の学生という成果が得られ、両スピーカーとも良好な結果と考えています。本セッションでは「毎週1本」のゲーム制作演習に焦点を当て、そのような講座を成功に導く際の教育学的な課題について検討します。

得られるもの
両スピーカーは「毎週1本」演習を実施する教育学的論拠を説明し、その種の講座を開講する際の具体的なアドバイスを提供します。大学院生と学部生それぞれに「毎週1本」演習を行なった結果の比較に触れ、同講座中でプロトタイピングが成功した学生作品を何作か紹介します。


ゲームと社会的正義:サービスラーニングのゲーム教育への応用
Games and Social Justice: Adopting Service Learning for Games Education

Gillian Smith (Assistant Professor, Worcester Polytechnic Institute)

本セッションはスピーカーが構築し開講した「ゲームと社会的正義」と題した講座のポストモーテムとなっています。同講座は学生が部外の非営利コミュニティパートナーと連携する「サービスラーニング」を採用しており、これを文脈として講座の最終段階でグループ単位でのゲームデザインプロジェクトを実施しています。セッションではサービスラーニングをゲームデザインの課程に採用する利点、内省的なライティングが学生による理論と実践との結びつけにどのように寄与するのか、そして部外のパートナーとの連携により学生の職業的スキルが向上し、ゲーム制作を通じて社会的な問題に関する抽象的な議論に具体性を引き上げられるのかを紹介します。

得られるもの
受講者は、サービスラーニングの採用により革新的なデザインが促進され、異なるターゲットへの訴求が可能になり、学生の職業的スキルが向上する様子、内省的なライティング課題を頻繁に課し、並行して読書課題やディスカッションを行うことで学生が理論と実践を結びつける一助とする様子、そして地元コミュニティ内の部外パートナーと連携することでゲームにおける社会的正義に関するよりハイレベルでの議論が地に足ついたものになる様子などを知ることができます。



ゲームナラティブサミット

2018年3月19日(月)~20日(火)のゲームナラティブサミットはトリプルAタイトルからインディーやモバイル・ソーシャルゲームまでのあらゆる物語の形に対応します。このイベントはこの分野を隅々までカバーするスターの方々に登壇していただきます。セッション内容は上級、理論的内容から実務的ケーススタディを行います。ライター、デザイナー、プロデューサーなどの方々が、ゲームの物語をより幅広くするために役立つ様々な問題解決法を紹介します。ゲームナラティブサミットでは、エンターテイメント業界で進行中の対話型ストーリーテリングの進化に熱烈な興味をもつ世界中の人々を対象としています。

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実りある不和:多様性あるライター陣が生み出した「ライフ イズ ストレンジ ビフォア ザ ストーム」
Productive Dissension: How a Diverse Writers’ Room Created ‘Life is Strange: Before the Storm’

Zak Garriss (Narrative Director, Deck Nine Games)

本セッションでは「ライフ イズ ストレンジ ビフォア ザ ストーム」のリードライターを務めた Zak Garriss がテレビライターチームを応用することで1500ページ超のインタラクティブな台本を制作した舞台裏を紹介し、ライター陣による協働の強みとハードルについて解説します。出自や視点が多様になり、成果物を批評する目の数が増え、イテレーションと制作が速くなり、ストーリーの品質が上がったものの、いずれも作品の声とビジョンが一貫性を失うリスクと引き換えのプラスでした。本セッションは制作と創造性の両方の面からこれらの強みを活かしつつハードルを克服する方法に焦点を当て、ゲームのナラティブデザインの未来に向けたひとつのモデルケースを掘り下げます。

得られるもの
受講者は、全体をよりよくするために協働で自分たちの成果物を評価・批評する必要のあるクリエイティブなチームにおいて、信頼関係を構築していくためのフレームワークについて学べます。


一本道ではないスペースでのキャラクター描写:「アンチャーテッド 古代神の秘宝」の場合
Character Development in Non-Linear Spaces: ‘Uncharted: The Lost Legacy’

Josh Scherr (Writer, Naughty Dog Inc.)

Naughty Dog が「アンチャーテッド 古代神の秘宝」で広大でオープンエンドなエリアの制作に取り組んだ際、それまで恒例だった「幅の広い一本道」といえるナラティブのテクニックを応用してプレイヤーの選択肢を増やすと同時に、クロエとナディーンの関係性に一貫性と自然な流れをもたせる必要がありました。本セッションではライターの一人であった Josh Scherr が Naughty Dog のストーリー開発テクニックを紹介し、このユニークなエリアにまつわるライティング工程を詳しく解説します。カットシーンやゲームプレイ中の会話、適切な調整のために要した決断や妥協、そして今後避けたい失敗などに言及します。

得られるもの
受講者は Naughty Dog のストーリー開発プロセスを詳しく理解し、一本道であろうとなかろうと自分でゲームナラティブを作り出す際に応用できるハイレベル、詳細両方向からの事例を知ることができます。


Writing and Narrative Design: A Relationship
ライティングとナラティブデザインの関係

Eric Stirpe (Sr. Writer, Telltale Games)
Molly Maloney (Season Lead Narrative Designer, Telltale Games)

ナラティブデザインはゲーム業界内で急速に発展しつつある分野といえますが、ライティングとはどう異なるのでしょうか? 両分野の融合はチョコレートとピーナッツバターのような魅力的な組み合わせになりうるものの、そう簡単にいかないこともあります。ライター視点で、プレイヤーによるインタラクションが感動的な場面を台無しにしているとしたら? デザイナー視点で、あるセリフがプレイヤーを目標に向かわせるにはまわりくどすぎるとしたら? 議論の軍配はどちらに上がるのか? とことんぶつかり合うべきなのか? Telltale のライターである Eric Stirpe とナラティブデザイナーである Molly Maloney が、どこまでがライティングでどこからデザインなのか、そして魅力的なストーリーテリングにつながる両者の微細なバランスについてお話しします。

得られるもの
受講者はゲームのナラティブデザインとライティングの違い、その両者がどのように連携すればインタラクティブなストーリーを最大限に魅力的なものにできるのか、そして両分野間の対立をどう解消するのかについて理解を深められるでしょう。


魅力的なインタラクティブ・ナラティブをモバイルで実現するには
Designing Great Interactive Narratives on Mobile

Cass Phillipps (Director, Episode, Pocket Gems)
Marisa Bell (Lead Producer, Big Fish Games)
Jon Ingold (Narrative Director , inkle)
Rachel Weber (Senior News Editor, GamesRadar+)

インタラクティブ・ナラティブとして知られるジャンルはモバイルで急成長し、この僅か3年で市場規模が10倍になっていますが、色々な面でフォーマットが常に変化し、進化しつつある若いジャンルといえます。本パネルでは Inkle、Big Fish Games、Episode(Pocket Games)などに所属するモバイルでのストーリーの専門家がモバイルユーザー向けにいかにして魅力的なナラティブを生み出し、集中力を持続させ、移動中のプレイに対応し、小さい画面でインタラクティブな体験を可能にするのかについて話し合い、議論します。

得られるもの
受講者はモバイルで最高のインタラクティブ・ナラティブ実現について複数の観点から知ることができるでしょう。ストーリー重視のモバイルゲームやアプリをデザインする際にそれぞれ異なる道を歩んだ各パネリストが、モバイルでのコンテンツ、構造、仕様、そしてターゲット層に関する現行の諸説を話し合い、議論します。



GDCモバイルサミット

2018年3月19日(月)〜20日(火)のGDC Mobile Summitで、iOS、Android、Amazonなどのモバイルプラットフォーム上でゲームの素晴らしいゲームデザインと成功したビジネス戦略の鍵となるポイントを学びましょう。アイデアを共有し、ベストプラクティスを議論し、モバイルゲームの未来を形作っていきます。

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Pixar の Brain Trust モデルの King での採用、そして難航
Implementing Pixar’s Brain Trust Model at King, and How It All Went Wrong

Stephen Jarrett (VP Game Design, King)
Bob Woodburn (Director, Game Design Operations, King)

アニメーション映画の名門である Pixarでは、「Brain Trust」と称する同社のクリエイティブ陣のリーダー格からなる少人数のグループが、すべての映画作品の制作を統括しています。同グループは「トイ・ストーリー」の制作中に設立され、クリエイティブ陣のリーダー格が映画の監督と集まって問題や解決方法をオープンかつ率直に話し合うフォーラムです。Pixarはこの仕組みが大成功で、14タイトル連続でヒット作品を出す一助となったと言っています。ゲーム開発にも応用できそうな気がしてきますよね?
他の会社の多くもそうしたように、Kingでも「Product Champions」と称し、制作、アートそしてゲームデザインからそれぞれ才能と経験が豊富なメンバーを集めたチームで各ゲームのチームが品質の底上げをするアドバイスや支援をするという、同様のシステムを導入しました。本セッションではこの試みがいかに難航したか、そして2年経った今、Kingのチームがどのように感じているのか、そして、同システムがようやく機能し始めているかもしれない可能性を掘り下げます。

得られるもの
受講者は Kingがクリエイティブフィードバック用のグループを設立した際の失敗談、そして難航の末の光明について学べます。


少人数の大所帯:「Animation Throwdown」の制作過程
All the Families: The Making of ‘Animation Throwdown’

Peter Eykemans (Senior Producer, Kongregate)
Katrina Wolfe (Producer, Kongregate)

開発会社2社、パブリッシャー1社、IPホルダー1社、そして5つの独立したIPにまたがる最少人数のチームで、AAAゲームを制作するなんて、どんな感覚なのでしょうか。Kongregate のプロデューサー2名が「Animation Throwdown」のユニークな制作過程と、常軌を逸した制作上のハードルにどのように対応して大成功へと変えたかをお話しします。

得られるもの
受講者は複数の関係先がからむ複雑な座組みをどう構築すべきか、限られたリソースをどう活かすか、そして有名IPの取り扱いを含め、このような大規模な取り組みに挑戦する際に気をつけるべきリスクについて学べます。


時々考えましょう:モバイルの基本プレイ無料ゲーム用のシステムデザイン
It’s About Time: System Design for Mobile Free-to-Play

Evan Losi (Lead Game Designer, Scopely)

ゲームシステムとは複雑なものです。どこからとりかかればいいのかを迷うことも多いでしょう。本セッションでは、ターンであれ秒であれ、あらゆるゲームに共通する要素である時間に着目することで多くのゲーム要素を簡単に分析・調整可能にするという、システムデザインへの実用的なアプローチを紹介します。熟練のシステムデザイナーでありモバイルゲームの経験が豊富な Evan Losi が、ゲームのチューニングへの系統だったアプローチを紹介し、ゲーム内の経済から武器のバランス調整まで、その理論をゲームの具体的な要素にいかに適用できるかを解説する、そんな一時をお過ごしください。

得られるもの
受講者はシステムデザインの実用的な理論と、ゲームのチューニングや設定に関する基礎知識を学べます。システムデザインの技術をまだ知らない受講者は、自前のプロジェクトでどのようにアプローチしていけばいいかの理解が深まるでしょう。


インスタントゲーミング
Gaming Instantly!

David Fox (Double Coconut)

それこそ瞬く間に台頭しつつある Facebook Instant Games では、過去数か月で何十億ものゲームセッションがプレイされています。Instant Games は Facebook メッセンジャーベースとなっており、モバイルはもちろん、ほぼすべてのデスクトップデバイスに対応しています。プレイヤーはアプリをインストールする必要なく瞬時にフレンドをゲームに誘うことができ、テキストメッセージの流れの中で自然にゲームを楽しめます。しかし、そんな Instant Games のデザイン、開発そしてリリースは一朝一夕ではかなわないのです。これらのタイトルの制作には独自のベストプラクティスや裏技集があるのです。本セッションでは Instant Games で大ヒットを飛ばすのに必要なものを余すところなく解説します。

得られるもの
Facebook Instant Games のプレイヤー層は急速に拡大しており、非常な好機となっていますが、まだ活用しきられておらず、タイミングも急速に収束しつつあります。
この難関を突破した面々から学び、Instant Games をデザインし、開発し、ローンチを成功に導くためのヒントをお聞き逃がしなく!


クロスプラットホームは割に合うのか?
Going Cross-Platform: Is It Worth the Effort?

Tammy Levy (VP of Publishing, Kongregate)

競争が非常に激しくなっている現在のモバイル市場で、さらなる成功を収めるにはどうすべきでしょうか。Kongregate はiOS、Android、ウェブ、Steam で真にマルチプラットホームと呼べるゲームをリリースしています。何を変え、どんな業績評価指標が目安となるのでしょうか。本セッションでは「Animation Throwdown」「Spellstone」「Bit Heroes」を含むリリース済みの Kongregate ゲームのケーススタディ数件を通じ、クロスプラットホーム化によりプレイヤーがどこでも遊べるようにすることの長所と短所を解説します。

得られるもの
ゲームがプラットホームごとにどのような挙動をするのか、業績評価指標がどのように変わるのか、そしてどんなハードルに遭遇しうるのかを学べるでしょう。



インディペンデントゲームサミット

2018年3月19日(月)〜20日(火)のインディペンデントゲームサミットで、最高で輝かしいインディーゲームクリエイターの声を聞くことができます。多くの過去や今年度のIndependent Games Festivalのファイナリストや受賞者の様々な声や経験、視点を代表するレクチャーやポストモーテムに参加できます。

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「Darkest Dungeon」でのパートナーシップ:諸刃の剣
Partnership on ‘Darkest Dungeon’: The Double-Edged Sword

Tyler Sigman (Co-Founder/Design Director, Red Hook Studios)
Chris Bourassa (Co-Founder/Creative Director, Red Hook Studios)

ビジネス戦略からスタッフの人事から製品開発まで、すべての大きな決断を共有で行うのは時に素晴らしく、時に頭がおかしくなりそうな取り組みです。「Darkest Dungeon」の開発元である Red Hook Studios は創立以来、共同社長2名によって経営されてきました。このような共同経営には独自の利点、課題、そしてリスクが伴います。本音で向き合うという揺るがない信念ゆえ、Tyler Sigman と Chris Bourassa は自分たちは協働することで個々には成し遂げられなかったであろう成功を収められたと確信しています。「Darkest Dungeon」の開発の各段階での実例をふまえ、そこで得られた大事な教訓をご紹介します。

得られるもの
受講者は戦略的判断の改善、そして意見の不一致や人格的な原因での衝突など、どうしても起きる不和への対応方法を含め、仕事でのパートナーシップに関する具体的で実用的なアドバイスを得られるでしょう。


インディーゲームをコンシューマへ:移植実用ガイド
Your Indie Game on Console: A Practical Guide to Porting

Thomas O’Connor (Studio Director, PlayEveryWare)

本セッションではコンシューマゲームのリリースに必要な技術面および管理面での仕事に焦点を当てます。スピーカーが他スタジオのインディーゲーム作品のコンシューマ機移植を通じて、および、ニンテンドー社での開発サポートエンジニアとしてで得てきた経験に基づき、あらゆるコンシューマ機でゲームをリリースするのに必要な準備について解説します。「Hello Neighbor」「Milanoir」「Elliot Quest」など、最近コンシューマ版がリリースされたゲームを実例として、オンボーディングや開発、認証提出からリリースまで、開発者が移植課程を通じて遭遇する数々のハードルに触れます。

得られるもの
受講者はコンシューマ機でのパブリッシュの実態に関する謎の多くについて裏側を知ることができるでしょう。開発環境がC++、Unity、Unrealのいずれであれ、インディー開発者はコンシューマゲームのリリースに向けた作業、およびゲームの移植とパブリッシュに必要な準備を進められるはずです。


Breaking Through: Psychosis and the Making of ‘Hellblade’
精神病と「Hellblade」の開発

Dominic Matthews (Commercial Director, Ninja Theory Ltd)
Tameem Antoniades (Co-Founder/Chief Creative Ninja, Ninja Theory Ltd)

本セッションでは「Hellblade: Senua’s Sacrifice」で精神病に関連したモチーフをどのように表現したかを、独立系AAAタイトルというモデルの範疇で掘り下げます。20人の少人数チームでのAAA品質のゲーム開発の中で、ゲームでのナラティブの限界に挑戦しつつ説得力と深みのある表現を実現した過程を、精神病というテーマに関するリサーチと連携に焦点を当ててご紹介します。

得られるもの
受講者は Ninja Theory が精神病で苦しむ主人公の物語を作り上げた事例を通じ、独立系AAAアプローチによって創造的ビジョンを重視し、より高密度で作り込まれたゲームをデジタル配信することで、リテールAAAのモデルから脱却できる可能性に触れられるでしょう。

想定される受講者
高品質で創造性の豊かな体験を作り出そうと目指す中小規模の開発スタジオや、楽しんでくれるファンに向けたゲームを作る方法を模索している開発者。


インディースタジオの発展に向けた高濃度実用アドバイス
Intensely Practical Tips for Growing an Indie Studio

Alexis Kennedy (Creative Director, Weather Factory)

Alexis Kennedy は Failbetter Games を旗揚げし、大きくしてから次のステップへと移りました。同スタジオは安定し、満足度が高く、対外的にも評価され、GI.biz の第1回「UK最高の職場」賞を受賞したばかりです。本セッションではその流れのなかで得られた教訓、そして2つめのスタジオ創設の際に活きた教訓を、体験談や実用的なアドバイスを中心に紹介します。

得られるもの
長期的視野をもってインディースタジオを創設し、発展させ、成功を収めるための指針。


「Caves of Qud」での歴史のプロシージャ生成
Procedurally Generating History in ‘Caves of Qud’

Jason Grinblat (Co-Founder & Designer, Freehold Games)

ゲームで歴史をプロシージャ生成しようと考えたとします。歴史とは人物、場所そして出来事が複雑に絡み合う複雑な網目です。いったいどこから手をつければいいのでしょうか。本セッションでは Jason Grinblat が「Caves of Qud」で歴史を生成するのに採用した革新的な方法を解説します。最初に「Dwarf Fortress」と「Epitaph」を例として、歴史生成機能のあるゲームに共通する事項をいくつか紹介し、その後、先に歴史上の出来事を生成して、後付けでその合理化を行なったことで完全な歴史シミュレーションを作るのを避けたアプローチを説明します。置き換え文法の有効性にも触れ、限られた予算の範囲内で豊かで説得力のある歴史を生成する方法について解説します。

得られるもの
受講者は歴史のプロシージャ生成の入門編を聞き、限られた予算内でゲーム世界の歴史を生成させる革新的な方法について学ぶことができます。有用なテキスト生成ツールである置き換え文法について、それをどのようにプロシージャシステムの一環として組み込むかについても知ることができるでしょう。



ゲームUXサミット

2018年3月19日(月)のUXサミットでは、UXデザインとアプローチ面でのベストプラクティスについて知ることで、ゲーム作品の全体的な品質を向上させ、ユーザーエンゲージメントを強め、維持できる可能性を高められるでしょう。UXはゲームのデザインおよびビジネス的意図がターゲット層によって最終的に体感される確実性を高める一助となるものです。認知科学や心理学の知見、そして研究成果の応用により、デジタルゲーム業界におけるユーザーエクスペリエンスという専門分野のあらゆる側面について学べます。

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創造的な世界を使いやすいUIに落とし込むには
Immersing a Creative World into a Usable UI

Steph Chow (UX/UI Consultant for Games, Steph Chow Design)

良好なUIはゲームを体験するプレイヤーの楽しみの一助となるものです。ただしUIはプレイヤーにとって、機能的な「糊」という役回りを遥かに超えたものにもなり得えるのです。キャラクターもしくはエリア同様に、UIそのものにもプレイヤーとゲーム世界とのナラティブ的関係を形作る一端を担わせることが可能です。しかし、ボタンやアイコン、フォントやレイアウトといったUI要素をどうすれば、ゲームの独特な世界のアクセントとなりつつ、機能面での制約にならずにすむのでしょうか。本セッションではゲームの世界観をUI内に落とし込む方法、および、プレイヤーの熱中度とUIの使いやすさとの適切なバランスとりについて掘り下げます。

得られるもの
受講者はゲームの世界観を戦略的かつ創造的に反映したUI要素を制作する方法を知ることができるでしょう。UIのビジュアル面を作り込むことで、使いやすさを犠牲にせずにゲームの総合的なブランディングのプラスになれることを実感できるはずです。


視覚障害とAAAゲーム
Triple A Gaming While Blind

Karen Stevens (Accessibility Lead, EA Sports)

世界保健機関(WHO)の推測によると世界中で2.5億人ほどの人々が重い視覚障害をもっています。その中にはゲームユーザーが少なからず含まれ、全盲の方も多くいます。本セッションでは「UFC」「ニード・フォー・スピード」「NHL」「Madden NFL」を含むEA発のいくつもの人気タイトルが視覚に頼らないゲームプレイが可能であることを紹介します。ターゲット層内の視覚障害をもつプレイヤーの体験を改善するためにEAが採っているいる施策についても解説します。本セッションの目的は視覚障害をもつプレイヤーがどのようにゲームをプレイしているのか、および、その体験を改善するには何ができるのか、に対する認識を高めることです。

得られるもの
視覚障害をもつプレイヤーが既にAAAタイトルを遊べていること、および、UXコミュニティがどのように彼らに歩み寄り、その体験を改善できるかについて学べます。


良好なゲームデザインは手品
Good Game Design is like a Magic Trick

Jennifer Scheurle (Game Design Lead, Opaque Space)

「プレイヤーにある感情を伝えるために、舞台裏に仕込んである巧妙なメカニクスって何かある?」 Jennifer Scheurle がツイッターにこの質問を投稿したことでゲーム開発者コミュニティ内に大きな波紋が広がり、何千もの「いいね」返信が集まりました。まるでその質問を待っていたかのように、何人もの著名な開発者が秘伝の技を共有してくれたのでした。本セッションでは Jennifer がゲーム開発者が何十年もに渡って駆使してきたこれらのテクニックの文脈を解説し、世界最高峰のゲーム作品とそのクリエイターのノウハウを掘り下げてご紹介します。

得られるもの
業界屈指のクリエイターが使っているゲームデザインのテクニックや実装方法に幅広く触れ、それらのノウハウがどのように生まれたのか、および、ご自分の仕事にもどうすれば同様のやり方を取り込めるかについても知ることができるでしょう。