デジタルからくりワークショップin調布を実施しました(11/19)

すっかりレポートが遅くなってしまいましたが、NPO法人IGDA日本SIG-4NG(for Next Generation)主催で、「デジタルからくりワークショップ in 調布」を2016年11月19日に開催しました。会場の調布市青少年ステーションCAPSでは、中学生と高校生を中心に8名が参加し、スタッフと共にUnityを使ったワークショップを楽しみました。なお、本ワークショップは公益財団法人中山隼雄科学技術文化財団の助成を受けて実施されました。また、サードウェーブデジノスより機材協力(ノートPCの貸し出し)をいただきました。改めて御礼を申し上げます。

青少年ステーションCAPSは全国でもめずらしい中学生・高校生を対象とした学童施設です。特に音楽やダンス関係の活動が充実しており、放課後や週末になると多くの子供たちが施設を訪れて、楽器やダンスの練習をしたり、ノートPCで動画をみたり、それこそ宿題をしたりと、思い思いの時間を過ごしています。屋上にはフットサルとバスケットコートも設置。他にデザインやモノづくり、カードゲームの大会なども行われています。ワークショップ当日も料理教室が行われていました。

ワークショップの内容は事前に用意されたUnity上で動くドミノ倒しのサンプルを改造しながら、参加者それぞれが自由にステージをエディットし、最後に一つに連結させるというもので、7月2日に福島県郡山市で開催されたものと同じ内容です。ほとんどの参加者がUnityを触るのは初めてでしたが、マウス操作に手慣れた子供たちが多く、比較的すんなりとUnityの操作になじんでいました。なお、サンプルはSIG-4NG正世話人の長久勝(アトミテック)が作成しました。

本ワークショップではゲーム会社と学校関係者の方を一名ずつお招きし、外部評価をいただいています。今回は企業側評価者としてマーベラスの岡田茂執行役員、学校評価者として東京工科大学の岸本好弘先生にご参加いただきました。いつもは学生に教える立ち場の岸本先生も、特別にUnityの操作に挑戦。操作をサポートするのは、同じ東京工科大学の学生で運営サポートに入ってくれた留学生のゼヤード・クルディ君です。教える側と教えられる側が逆転するという、ワークショップならではの光景です。

昨年まで琉球大学でIGDA琉球の代表として活動し、2016年4月からサイバーエージェントでゲームプログラマーとして活躍中の古波倉正隆氏も、運営サポートで参加してくれました。大学生の頃から地元の高校でUnityのワークショップ講師を行っていたという古波倉氏だけに、サポートも手慣れたもの。さすが高校生だけあって、シーソーを組み合わせた仕掛け設置してボールを立体的に動かすなど、高度なエディットが行われていました。

本ワークショップではUnityの操作だけでなく、クレヨンを使って自由にデザインしたキャラクターをPCのカメラで取り込み、ステージ内のキャラクターに使用する「お絵かきワークショップ」も行われました。自分でデザインしたキャラクターがクラウドを経由して、すぐにステージ上に表示されるとあって、Unityよりもお絵かきにハマってしまった参加者もいたほど。クレヨンで巧みにグラデーションをつけ、良い感じにキャプチャ画像を創り上げた参加者もいました。

大半のワークショップやプログラミング教育は個々人がPCに向かって作業を行い、それぞれ別々の成果物を作っていきます。しかし、本ワークショップではクラウドを通した共同作業に重点が置かれています。アンケートやマニュアルはGoogle Documentが使用され、作成したステージデータはSource Treeでマージされ、一つの長いステージに連結される、などです。すべてのステージがきちんと完成していれば、スタートからゴールまでボールが流れていくはずですが、なかなかそうは問屋が卸しません。何度も繰り返し調整を行うことになります。

また、多くのワークショップは教室などの閉じられた空間で行われますが、今回は施設の入り口ロビーという、解放された空間で行われました。大人と子供がまじってわいわい楽しそうにノートPCに向かっていると、かなり注目を集めたようです。そこですかさずスタッフが「お絵かきワークショップをやりませんか?」と声をかけ、飛び入りで参加してもらいました。中にはお絵かきだけでなく、作ったキャラクターをステージ上に設置するところまで体験してくれた参加者もいるなど、非常に盛り上がりました。

学校でPCを使う授業はあるものの、Unityを使うのは人生で初めてという参加者ばかり。それでも、多くの中学生・高校生たちがワークショップを楽しんでくれました。中には家庭で「マインクラフト」を楽しんでいるという参加者もみられました。そうした参加者ほど操作になれやすく、ステージエディットに前のめりで楽しんでくれたようです。日本でも「マインクラフト」がプログラミング教育の地ならし的な役割を担っている現状が、改めて感じられました。

最後に長久から挨拶があり、ワークショップが終了となりました。その後、今回作ったデータがUnityのインストールプログラムと共にUSBメモリにセーブされ、参加者に記念品としてプレゼントされました。このように、無事終了となった本ワークショップ。ゲーム作りを身近に感じてもらえたとしたら、大変嬉しいですね。なおIGDA日本では本ワークショップを年数回程度、主に地方の公共施設・公民館・学童施設などで無料開催して参りますので、ご興味のある方はぜひご連絡ください。