CEDEC2016スカラーレポート①川原昂也

和歌山大学観光学部3年生の川原昂也と申します。今回IGDAスカラーシップ生として、CEDECに参加させて頂きました。非常に有意義な体験をさせて頂き、とても全てを書き切ることはできませんが、可能な限りレポートとしてまとめさせていただきました。

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今回は1日目がゲーム会社スタジオツアー、2~4日目がCEDECという日程でした。

・スタジオツアー
・CEDEC
・PERACON2016
・終わりに

この4つの項目に分け、報告させて頂きたいと思います。

【スタジオツアー】
1日目はスタジオツアーとして、ゲーム会社3社に訪れました。
午前に訪れたDeNAでは、フロア見学とゲームデザインに関する演習を行いました。以前に勉強会で一度行った内容でしたが、一緒に行うメンバーによって全く結果が変わり、ゲームデザインの難しさと楽しさを感じることができました。

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午後に訪れたポリゴンマジック様では、代表の鶴谷様をはじめとした現役で働く方々にお話を伺うことができました。会社紹介を伺うなかで、自分が意外にも「流行に疎い」ということに気付きました。制作に集中しすぎるあまり、「ゲーム」という枠の外が見えなくなっているということは、クリエイター特有の弱点だと思い、克服しなければいけないと感じました。
最後に訪れたAiming様では、座談会形式で現役のディレクター/ゲームデザイナーの方とお話をさせて頂きました。実際に自分の立てた企画を見て頂き、「ユーザーがゲーム内で感じたことを考え、反映するタイミングを作ることで、さらに良いフィードバックを与えることができる」というアドバイスを頂きました。
フィードバックと思考、試行のサイクルについては以前より考えていましたが、曖昧だった部分が鮮明化し、より理解が深まりました。
スタジオツアーで訪れた3社は、それぞれ方針、特徴、働く人々の気風など違いがあり、この多様性が様々なゲームの個性に結びついているのだと感じました。

【CEDEC】
2日目からはCEDECに参加させて頂きました。
以前より、他のゲーム関連のカンファレンスイベントには参加していましたが、CEDECは規模が非常に大きく、内容も多岐にわたっており驚きました。

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私はセッション視聴については、『ゲームデザイン、マネジメントに関するセッションを最優先、次にVA(ビジュアルアーツ)のセッションを優先的に視聴』という方針で臨みました。
まず、自分の志望である企画系、ゲームデザインに関する技術は外せません。
また、職種上チームの運営に関わることも多くなると考えられるため、開発のマネジメントに関するセッションも優先的に視聴しました。

次に優先したのがVA(ビジュアルアーツ)に関するセッションです。
というのも、ゲームにおいてビジュアルはプレイヤーに最も訴求する要素であり、プランナー、ゲームデザイナーにはそのビジョンと実現方法が見えている必要がある、と自分は考えているからです。

今回は、中でもUIに関するセッションを多く視聴しました。
大学のチームで制作を行う中で、UIの設計、デザインに関する技術を取得したいと強く感じていたためです
小規模チームでの開発など、専任のUIデザイナーがいない状況では、往々にしてUI・UXを行う人材が不足しがちです。
そんな状況で、デザインと実装の橋渡しを行い、プレイ体験を想定したUX、モーションデザインができる人材がいれば、UI制作フローが円滑になるのでは? と考えていました。
上記のような考えのもと、今回はUI関連のセッションを多く視聴しました。

特に感銘を受けたセッションは、

O-Planning 大野功二氏 「『コントラスト』で考えるゲームデザイン・レベルデザイン」
オインクゲームズ 新藤 愛大氏 「エフェクト/UIモーションの役割」
カプコン 亀井敏征氏「Street Fighter V Art Direction」

の3セッションで、いずれもゲームデザイナーとしての自分に不足している部分に自然に入ってくる内容でした。

特に新藤氏のエフェクト/UIモーションのセッションは、「エフェクト/UIモーションでユーザーの興味、目線をコントロールし、自然にゲームのフロー、内容を理解してもらう」というもので、まさに自分の求めていたことを知ることができました。
UIデザインだけではなくプレゼン、企画書にも応用できる内容で、このセッションを見ることができただけでもCEDECに参加した甲斐があったと思えるほどでした。

【PERACON2016】
今回は企画系唯一ともいえるコンテストイベント、PERACON2016にも応募させていただきました。全国の企画系のプロ、アマチュアと競い合い、いかに「ウケる」企画を書くかを考え詰め、絞り出した経験はゲームデザイナーを目指すうえで非常に有意義なものだったと感じています。おかげさまで16位を受賞し、和歌山大学もアマチュア団体1位を獲得できました。

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【終わりに】
このIGDA・CEDECスカラーシップでの体験を通じて、自分はゲーム業界への就職についてさらに気持ちが高まりました。就職活動を待たず働きたい、本気の環境でゲームを制作したい、という気持ちがこのレポートを書いている今も抑えられません。

このCEDECスカラーシップはゲーム業界を本気で目指す学生を対象に募集されています。今、応募を迷いながらこのレポートを読んでいる人は、今すぐ応募書類を書きましょう。そう即断してもお釣りが来るくらいこのスカラーは良い体験だと言えます。

CEDECはまさに「僕たちが憧れたゲーム業界」を見ることができる機会なのです。
溢れる熱気、惜しみなく発表される最新技術、開発者同士の盛んな交流、セッションから感じられる最前線の開発者の熱意。
どこを見渡しても、幼いころ憧れたままのゲームクリエイター達が溢れています。
そんな中に飛び込み、同じセッションを聞き、言葉を交わすチャンスを得られるのはこの機会をおいてありません。

CEDECを終え「あの人たちと同じステージで全力で働きたい」という気持ちが自分の中に燃えています。この気持ちのまま、就職活動、就職後の制作へと全力で向かっていきたいと思います。