CEDECスカラーシップ2019体験レポート⑧ 八尋建太朗

CEDECスカラーシップ2019に参加させて頂きました、九州大学芸術工学府修士1年の八尋建太朗と申します。

この記事では、UIデザイナー/テクニカルアーティス志望の学生として、スカラーシップでの体験やそれを通して学んだことを記していこうと思います。

スカラーシップで得られるもの

IGDAのCEDECスカラーシップでは、普段ただ学生をやっているだけでは知ることも体験することもできない、ゲーム業界の様々な側面に内側から触れることができます。

初日の会社見学からはじまり、CEDEC当日の3日間に渡るまで、普段行けない場所、話せない人達との対話、同世代の志の高い学生達との交流の機会がこれでもかという程に散りばめられています。必ず自分の今後に活かせる経験や人との繋がりが生まれると感じました。まず、こうした機会を設けてくださったIGDAの方々、学生の私たちに時間を割いてくださった様々な業界の方々に感謝を述べたいと思います。

スカラーシップで体験したこと

CDEC2019スカラーシップの最初のプログラムである、初日のゲーム会社見学では、ジープラ様、サイバード様、ディライトワークス様の三社に実際にお邪魔させていただきました。実際の仕事現場の案内から各社の取り組みやこだわりの説明に至るまで行っていただき、各々で質疑応答の場も設けられました。

2日目以降は、UIを中心に、個人的に興味のあるXRや機械学習などに関する講演も好きに聞いてまわりながら、昼も夜も業界の方々とお話させていただく食事会がありました。直接ポートフォリオを見ていただいたり、現在の悩みを聞いてもらったりしながら、業界の方ならではの視点でのアドバイスや興味深い話も非常に多く聞くことができました。

スカラーシップで学んだこと

まず、会社見学において現場の姿を実際に見ることは、将来自分がどの会社に行くことになるかは分からないにしても、「こんな雰囲気の職場で働きたい」「こんなビジョンを持っている会社で働きたい」など、学生をやっているだけではなかなかできない、働く自分の姿の想像ができます。この視点は私が残りの学生生活をどう過ごして行くかを考える上で大きな影響を受けました。

2日目以降、まずもちろんCEDECの講演を聞くこと自体による知識的な学びは非常に多かったです。学生ではもちろん理解に及ばないような講演もありますが、手が届く内容のものも多くあります。業界最先端の技術や思考法、デザイン論などが集約されていますので、現在の自分の立ち位置と最先端の距離感をしっかり体感でき、大きな今後の学習のモチベーションとなりました。

そして、私個人にとって最も大きな経験だったのは、たくさんの業界の方々と面と向かってお話しする機会でした。印象的だったことは、一つの質問に対して人によってアドバイスしてくださることが違うということです。

全員に共通している部分もあれば、真反対のことを言われる点もあります。しかし、これはどなたか一人が正しいのではなく、各々が何を信念にゲーム業界で生き抜いてきたか、という違いが現れていると感じました。

学生は、誰か一人の意見をそのまま鵜呑みにすることがいいことではないし、また誰の意見も聞かず自分の道を行くこともいいことではないと私は感じています。こうして様々な意見をいただき、自分の中で咀嚼し、その上で自分が何を思い行動するのかが大切だと思っています。

なかなか普通に学生をやっていると、限られたコミュニティの中の、多くない他人の考え方しか吸収できません。CEDECスカラーシップの魅力は、何と言って文化やコミュニティの異なるスカラーシップの学生との対話の多さ、そして業界の方々とお話しさせていただく機会の多さが最も大きな魅力だと私は思います。

最後に

スカラーシップがあることで、志の高い学生が、学生のうちからCEDECというゲームカンファレンスの最先端に参加でき、多くの刺激を受けて再び学業に取り組むことができます。私もそのスカラーシップの一員としてこのイベントに参加できたことを心より嬉しく思いますし、今後に必ず活かして行くつもりです。

重ねて申し上げますが、スカラーシップを立ち上げてくださったIGDAさん、お話をしてくださった方々皆様にお礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。

ゲーム業界へ高い意欲を持つ学生は、来年同様の企画が立ち上げられた際にはぜひ応募されることをお勧めします。想像もしなかったようなたくさんの学びがあると思います。