書評「24時間で学ぶ! Unity5 基本操作と開発のコツ」

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私の今の仕事はゲームサーバの開発・構築・運用ですが、そんな私でも、クライアント側の通信ライブラリ作成をはじめ、Unityは避けて通れないツールです。プロ、アマ問わず、ゲーム開発に関わる方であれば、少なくともインストールぐらいはしたという人がほとんどではないでしょうか。

本書「24時間で学ぶ! Unity5 基本操作と開発のコツ」は、そんなUnityを24時間で一通り勉強しようという、とてもエクストリームな書籍です。24章を1時間ずつ勉強すれば24時間というシンプルな構成で、プログラミングにはあまり踏み込まず、Unity5の機能を一通りさらう入門書となっています。

私の場合、自分のやりたいことだけ調べて、つまみ食い的にUnityを使ってきたので、本書を読んで初めて知ることもたくさんあり、やはり入門的な内容は一通りやっておくべきだなと反省しました。また、Unityには新しい機能がどんどん追加されるので、入門書であっても、最新のUnityの機能を網羅的にユースケースベースで紹介する新刊には、定期的に目を通したほうが良いなとも思いました。

福島GameJamやGlobalGameJamを通じて、Unityでゲームが開発される様子を数十タイトル見てきましたが、どうしてもゲームオブジェクトの相互作用の実装が中心になりがちで、Unityの多彩な機能を活用したものは少なかったように、本書を読んで感じました。その一つが「地形」です。本書では「地形」について1章を割き、ていねいに解説されていますが、GameJamでは殆ど活用されていない気がします。逆にこれを上手く取り入れることで、他のチームと一味違ったゲームが作れるのではないかと思います。

本書は、原著の第2版の翻訳となっており、入門書として熟れた内容であると思います。もし私がUnityの初学者向けの講義を担当するなら、教科書として採用することを検討するでしょう。その場合、私が学生の皆さんに話すであろうことを、いくつか挙げておきます

  • 「コンテナ」など一部の言葉に関して、一般的な用語が翻訳でカタカナ表現になっており、同じくカタカナ表現されているUnity固有の用語と区別しにくい箇所があるので注意
  • 数学や物理、CGの概念について、最低限の説明は配されているが、読んで分からなかったら、誰かに教えてもらうか、その分野の入門書を読むこと
  • 1章に1時間以上かけて取り組むこと。その章で学んだ内容を、自分なりに発展させて、いろいろ試してみると、理解が深まる。そうすると1時間では終わらない

今年の福島GameJamでは、運営が落ち着く夜中の10時間で、歌を歌ってプレイするゲームをUnityで作りました。24時間で勉強したあとでも、ゲームを作れる時間は残りますね。GlobalGameJamで会いましょう!

長久勝(SIG-4NG正世話人、FGJ-TF副世話人)