プログラミングの知識不問でゲームを作る「Low Code Game Jam」で参加申込みがスタート(11/14-12/14)

コーディング不要で誰もが簡単にゲーム開発ができる環境が広がっています。こうした中、フィンランドのアールト大学を中心とした国際オンラインゲームジャム「ゲームズナウ!」シリーズで、新たに「Low Code Game Jam」の申込みが開始されました。自作ゲームの公開プラットフォーム「itch.io」とSNS「Discord」のアカウントがあれば、学生や社会人を問わず、誰でも無料で参加できます。日本語の言語サポートやメンタリングも行われます。

公式サイトはこちら

通常ゲームジャムといえば、見ず知らずの参加者が会場に集まったメンバーで即席チームを作り、短時間でゲームを開発して公開するスタイルが主流です。しかし「Low Code Game Jam」では実施期間が1ヶ月間(11月14日~12月14日)あり、自分のペースで開発が進められます。チームで参加しても、個人で参加しても良く、通常のゲームジャムのような制約はありません。

さらに今回のテーマ「Low Code Game Jam」では、プログラミングの負荷が少ないゲーム開発環境を使用することが条件です。日本ではビジュアルプログラミング言語のScratchが小学校の授業などで取り入れられはじめていますが、あくまで言語であって開発環境ではありません。これに対して海外ではゲームに特化した開発環境が続々と登場し、広がりを見せています。

基調講演を担当するAdam Le Doux氏が開発した、ブラウザ上で2Dゲームが作れる「Bitsy」もその一つです(参考記事:専門知識不要のゲーム制作ツール「Bitsy」は、ゲームづくりの実験場を生んだ)。このようにBitsyではローファイで味のあるゲームをブラウザ上で、数時間で作ることができます。他にもTwine、Construct 3、GB Studioなどが知られています(他にこちらのサイトも参照)

もちろん、これ以外の開発環境を使用してもかまいません。本ゲームジャムでは他にもさまざまな開発環境についての情報が共有される予定です。そのためゲームデザイナーやアーティストといった、プログラミングスキルに乏しい学生や、ゲームジャムが初めてという学生でも安心して参加できます。ビデオゲームだけでなく、アナログゲームを制作してもかまいません!

Bitsyで制作されたゲーム「House of the Living

さらに、本ゲームジャムの興味深い点は、これがフィンランドの複数の大学が連携して実施する正規の大学授業の一環として開催される点です。ゲームジャムは4回の授業ごとに実施され、来年4月まで都合4回行われます。授業にはスーパーセルをはじめ、フィンランドのゲーム業界も協力しており、各企業からプロのゲーム開発者がメンターとして参加します。

初回の授業は「イベントデイ」と呼ばれ、ゲームジャムのテーマに即した講義が行われます。Bitsyをはじめとした開発環境の紹介も行われます(日本語の同時通訳もあります!)。その後、参加者はDiscord上で互いに交流したり、プロのゲーム開発者によるメンターからのアドバイスを受けたりしながら、ゲーム制作に取り組みます。Discord上ではゲーム開発に役立つさまざまな情報提供が受けられます。

その後、2週間後に中間発表があり、それまでに制作されたゲームが公開されます。最後に次のイベントデイ(2023年1月23日予定)で前回のゲームジャムの講評が行われ、優秀作品が発表されます。ゲームの開発締切は12月14日で、それまで提出された全作品に対して教員からコメントやフィードバックが行われ、一定条件(出席回数やゲーム提出率など)にもとづいて単位が認定されます。

Bitsyで制作されたゲーム「The World Has Been Sad Since Tuesday

イベントデイスケジュール

1:2022年11月14日
2:2023年1月23日
3:2023年3月
4:2023年4月

もちろん、日本の参加者はこれらの授業に参加する必要はなく、純粋にイベントデイの講義を楽しみ、自分のペースでゲーム開発を楽しめばOKです。その過程でさまざまな交流や、海外のゲーム開発文化に触れることができるでしょう。ゲーム作りの楽しさの原点に触れることができ、ゲームデザインの可能性や実験的なゲーム開発に挑戦できる「Low Code Game Jam」に、ぜひ挑戦してみてください。

※本イベントに関する日本語の質問は小野憲史(IGDA日本/東京国際工科専門職大学講師/ゲーム教育ジャーナリストまで) ono[at]igda.jp